出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2014/1/21

【第4回】6年後には日本演劇界の中心になる注目株 劇団「柿喰う客」の妄想エンターテイメント力

キャストを変えた乱痴気公演は特に注目

今回の公演『世迷言』は柿喰う客にとって1年半ぶりの新作。『竹取物語』や『源氏物語』『今昔物語』『宇治拾遺物語』など日本の古典文学を下敷きにし、歌舞伎や能など古典芸能の要素を取り入れたオリジナルストーリーです。テーマは"去る芝居"。人は死ぬ前に何を考え、何を残し、誰を生かすのか。混沌とした現代社会に解き放つ奇想奇天烈な御伽草子とのこと。

出演は、柿喰う客のメンバーに加えて、個性派俳優の篠井英介がゲスト出演します。古典から現代劇までいかなる役柄も柔軟にこなす篠井が中屋敷との間にどんな化学反応をおこすか楽しみです。

「柿喰う客」の公演は1時間半前後というほどよい上演時間で、毎終演後に約20分のアフタートークが行われます。中屋敷と出演者が日替わりで語り合うトークショーは公演と並んで人気です。

また、通常公演の他に1回だけ"乱痴気公演"と呼ばれる公演があります。男女や主役脇役の別なく、全ての配役をシャッフルして行われます。通常公演より稽古時間が少ないため、舞台上の役者同士で考えて、やりたいように演じるという緊張感のあるステージになり、好評を博しています。今回の『世迷言』は、"乱痴気公演"の追加公演が決定し2回行われることになりました。

今後の活躍が最も期待される中屋敷法仁が率いる「柿喰う客」。一度観たら、次回公演が必ず観たくなる劇団です。是非、劇場まで足を運んで、皆さんの目で確かめてみてください。


柿喰う客『世迷言』
作・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、鉢嶺杏奈、橋本淳、富岡晃一郎 / 篠井英介
東京公演 2014年1月29日~2月4日/ 本多劇場
石川公演 2014年2月8日/ 北國新聞赤羽ホール
大阪公演 2014年2月14日・15日/ サンケイホールブリーゼ
作品の詳細は公式サイトで。


出雲 あきら(いずも・あきら) 出雲 あきら(いずも・あきら)

演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に20年出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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