出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2019/1/21

ブロードウェイの最新作『パリのアメリカ人』を劇団四季が日本初演!

出雲あきらの演劇Life

アメリカ音楽の父といわれたガーシュイン兄弟の代表曲が散りばめられ、ジーン・ケリー主演で1952年にアカデミー賞を受賞したミュージカル映画『パリのアメリカ人』。この作品がスタイリシュなミュージカルとして現代に蘇りました。

手がけたのは数々のバレエ作品を手掛ける世界的な振付家クリストファー・ウィールドンや、脚本家のクレイグ・ルーカス、『アラジン』などのセットを手掛けた鬼才ボブ・クローリーらです。

2014年にパリで初演されると、翌2015年にはブロードウェイ・パレス劇場に進出し、その年のトニー賞では振付賞をはじめ4部門を受賞しました。この最新作が劇団四季によって上演されます。

60年の時を経て現代に蘇る名作

ルーカスの脚本は映画のストーリーを基に、登場人物により細かい描写を加えるとともに、歴史的背景を付け足すことで、物語に深みが与えられています。映画版は公開当時のパリを舞台とし、はっきりとした時代描写が見られませんでしたが、舞台版では終戦直後の傷跡を生々しく描きます。ナチスによる占領の影が残る街や、自転車で自家発電する様子など、大きな戦争を体験した人々の苦悩を色濃く描写しています。

この物語を、振付家のウィールドンはジャズダンスやタップダンスなどのダンスに加え、斬新で洗練されたバレエで表現していきます。ブロードウェイ初演時は「ダンスがこれほど圧倒されるほどの効果をもたらしたのは『ウエストサイド物語』以来のこと」という評価を受けたほどダンスシーンが際立っています。

ストーリーは

第二次世界大戦直後のパリ。アメリカの退役軍人ジェリーは、友人である作曲家アダムとショーマンにあこがれるアンリとともに、暗い時代に別れを告げ、画家としての新たな人生を歩もうと夢見ていました。ある日、ジェリーは街で見かけたパリジェンヌのリズにひと目で恋に落ち、彼女を追いかけて思いを伝えます。最初は拒むリズでしたが、徐々にジョリーに惹かれていきます。

しかし、リズはアンリの婚約者でした。ナチス占領下のパリでアンリの一家に匿ってもらった過去があるのでした。アンリへの恩義と、自由な世界へ自分を連れ出そうとするジェリーに惹かれる気持ちの間で、激しく揺れ動きます。

新しい時代の息吹に輝くパリの街で、複雑に絡み合う若者たちの運命。悩み、衝突しながらも、ひたむきに夢を掴もうとする彼らの恋と友情の行方は......。

圧倒的な迫力のダンスシーン

クライマックスの14分間にわたるバレエシーンは、一切言葉を発することなく、情熱的で大胆な振付で恋人たちのロマンスが描かれていきます。映画版はタップダンスとバレエの融合でしたが、舞台版はバレエシーンのみで展開され、上品で洗練された大人のためのミュージカルに仕上がっています。

出演者たちは、難易度が高く斬新な振付をこなさなければなりません。日本における上演は劇団四季以外に考えられません。ダンスに定評のある劇団四季だからこそ、ブロードウェイ版を超えるステージを期待します。

劇団四季がおくるブロードウェイの最新作の上演。今年最初の観劇はこの作品に決まりです!


ミュージカル『An American in Paris パリのアメリカ人』

東急シアターオーブ 上演中~3月8日(金)
KAAT神奈川芸術劇場 3月19日(火)~8月11日(日・祝)

作曲:ジョージ・ガーシュウィン
作詞:アイラ・ガーシュイン
脚本:クレイグ・ルーカス
演出/振付:クリストファー・ウィールドン

作品の詳細は公式サイトで。

出雲 あきら 出雲 あきら(いずも・あきら)

演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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