『RENT』以来の衝撃作と言われ、2008年度トニー賞最優秀作品賞を受賞した傑作ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』。トニー賞受賞時のこの作品の評価は圧倒的で、演劇関係者も一般の観客も、誰もが喝采を送りました。トニー賞受賞からわずか2年後の2010年にはブロードウェイからの来日公演が行われ、連日大入り満員だった本作品。それがついに日本人キャストによって日本語で初めて上演されることになりました。
舞台はマンハッタンの最北端 南米系の移民が多く住むワシントン・ハイツ
本作品は、1人の青年が学生時代に創り上げたプロットと楽曲がベースになっています。青年の名前はリン-マニュエル・ミランダ。ニューヨークで生まれ育ったプエルトリコ系移民です。何年もかけて作品をブラッシュアップさせて2007年にオフ・ブロードウェイで開幕。大きな反響を得ると、すぐにオン・ブロードウェイに進出してその年のトニー賞を受賞しました。ミランダはブロードウェイでは自ら主演も果たしました。受賞時の年齢は弱冠28歳でした。
当時ブロードウェイに衝撃が走った理由のひとつは音楽でした。1曲目は、ブロードウェイではそれまで聞いたことのないラップから始まり、サルサ、メレンゲ、ヒップホップなどのラテンのリズムにのせて圧倒的な迫力で歌とダンスが展開します。
その斬新な音楽とは対照的に、物語はとても心温かく、ブロードウェイ作品の王道をいっています。お互いに助け合って暮らしているハイツの人々の生活を、笑いあり、涙あり、恋ありと描き、今の日本人がすっかり忘れてしまった家族の絆と故郷の大切さを教えてくれる感動作です。
タクシー会社で働くベニーは、経営者夫妻の娘ニーナに想いを寄せています。ハイツの希望の星として名門大学に進学したニーナは、ある秘密を抱えて帰ってきました。ドミニカ系移民のウスナビは両親の遺した商品雑貨店を守りながらドミニカで暮らすことを夢見ています。ウスナビが恋心を寄せるヴァネッサはダニエラの経営するヘアサロンで働きながらハイツの外の世界に憧れています。
そんな中、皆から慕われているアブレラに奇跡が起きます。狂喜乱舞する住人達。しかし予想もしなかった混乱と不安が突然ハイツを襲います。ベニーとニーナ、ウスナビとヴァネッサの恋の行方は?ハイツの未来は? 大切にしたい自分の居場所はどこにあるのか......。
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