「美味しいものを食べる」というと、お金をかけて食べに行くイメージがある人も多いのではないでしょうか。経済的に厳しいから、特別な食事体験ができない......そう思っている人に平野さんは、「必ずしも、お金をかけたから幸せになるということでもない」と話します。
たとえば、この本にも書いていますが、寒くて疲れ果ててお腹ぺこぺこになった日に、私はよくコンビニの冷凍鍋焼きうどんを買うんです。それを家で火にかけて温めて食べる時の幸せは、何ものにも代え難いんですよ。
一方で、やっぱりレストランだからこそ得られる幸せもあります。経済的に悩ましい時、どうすればいいのでしょうか。
レストランでぜいたくに食べる体験は、数ヶ月に1回とかでもいいと思っていて。たとえば、1ヶ月に1回行く予算があるとしたら、2ヶ月に1回にして、ダブル予算で行ってみるとか。そういう工夫はできるなと思いますね。「他のお店2回行くの我慢して、ここに1回行きたいな」みたいなお店ってあるじゃないですか。 私、朝昼抜いて夜だけ食べる日もけっこうあるんですよ。まず朝ご飯は習慣的に食べていないのと、夜に全力を尽くしたいと思うと、昼に中途半端なものを食べてお腹いっぱいになっちゃうのが嫌なんです。夜お腹ぺこぺこにしておくなら、朝昼浮くぶんの食費も夜にかけられる! みたいな(笑)。「朝ご飯は食べたほうがいい」とか「1日3食」とか、全然気にしていないです。今日も何も食べずに来ました。パイの実とオー・ザックが1食目です(笑)。
心の赴くままに、一食一食を味わい尽くす平野さん。その時間には、きっと単なる食事以上の何かがあるはずです。平野さんにとっての食事は、どんな時間なのでしょうか。
私にとって、食べる時間は、「自分を自分たらしめてくれる時間」です。この本の冒頭に「会社員の味」という文章を収録していますが、会社員時代、夜中に疲れ果てて「このまま早く帰って寝たい」という気持ちだった時に、家の前の食堂が開いていて。入ってみたら、すごく心の温まる食事を出してくださったんです。 その時に、「美味しい」もそうなんですけど、「自分にもまだ感じる力が残っていたんだ」ということにすごく感動して。「この時間は、人様に多少迷惑をかけたとしても、絶対に守らなければいけないものだ」とわかったんです。ある種の聖域というか、大切にしたい、譲れない時間ですね。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。
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