2024/9/29

「パイの実には感動が詰まってるんです」フードエッセイスト・平野紗季子さんに聞いた、いつもの"食"を輝かせる秘訣。

平野紗季子さん

「まるでクリスタルでできた宮殿を口の中に建築するような料理」
「ビリヤニ食べて『風じゃん......』ってなった」
「それはまるで果物のzipファイル」
「ハムカツが光った」......。

フードエッセイストの平野紗季子さんが、日本や世界各地の食べ物たちとの出合いを綴った『ショートケーキは背中から』(新潮社)。ユーモアたっぷりの豊かな表現で、食べた瞬間の感動がまっすぐに伝わってきます。

平野さんのように、「食べる」を楽しみ尽くす秘訣とは? 普段の食事のようすや、食べ物にかける熱い思いを、直接うかがってきました。

"特別じゃない味"ならではの幸せ

こだわりのレストランからチェーン店やコンビニまで、本書には、あらゆる意味で多種多様な食べ物が登場します。まずは、どんなふうにセレクトしたのかを聞いてみました。

こだわり尽くしたレストランに毎日行きたいかというと、それはそれで疲れるじゃないですか。何でもない喫茶店に行ってぼーっとするのも癒されるし、仕事から帰ってきてクタクタで宅配を頼んで動画を見ながら食べる時間だって好きです。どんな食の時間にも、そこにしかない味が存在していると思うんですよ。

平野紗季子 著『ショートケーキは背中から』(新潮社)

本書で紹介されているグルメの中から、ロッテの「パイの実」と、ハウス食品の「オー・ザック」を召し上がっていただきながらお話をうかがいました。

パイの実は、高校時代にアメリカへ留学していた時、現地の日本食スーパーで買って感動したという思い出があるそうです。

箱の中に、パイが湿気ることなくサクサクの状態で収まっていることに、まず感動があって。パイって本当にすぐ湿気るじゃないですか。焼きたてのようなサクサク感を、常温で、日本中、世界中でいつでも味わえるってすごくないですか? ロッテさんのテクノロジーですよね。ちなみにパイの実は64層なんですけど、この64層が口の中ではじける瞬間の喜びがたまりません。

「オー・ザックの匂いが好きなんです」と袋の中を嗅ぐ平野さん

オー・ザックは、大のポテトチップス好きでもある平野さんの、"トップ7ポテチ"にランクイン。

いろいろなポテチを食べていて、生のジャガイモをスライスして揚げるというのがやはり王道のあり方だなと感じます。でもオー・ザックは、ジャガイモをパウダー状にしたものを使っていて。粉に味をつけて成形して揚げていて、言うなれば、かまぼこみたいな作り方なんです。

その特異性というか、不思議ちゃんというか。我が道を行くアウトロー感がすごく好きなんです。いいなぁ......と励まされます。クラス1の人気者みたいなものだけの世界って居心地悪いじゃないですか。やっぱり、オー・ザックがいてくれないと。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]ぜいたくしたいけど予算が...どうする?
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