2024/8/ 3

結婚・仕事・出産...。「20代後半、結婚や出産のプレッシャーがつらかった」小林早代子さんが小説で問う、男性に頼らない"友達同士で一生最強"な生き方

小林早代子さん

20代後半、揃えばいつだって"最強"になれる女友達4人組。

半年前に失恋した1人の叫びをきっかけに、「いっそうちらで家族になろう」と始まったルームシェア。ところが、1人が「4人で赤ちゃんを育てたい」と言い始めて......?

そんな小説『たぶん私たち一生最強』(新潮社)を書いた、小林早代子さん。今年32歳になる小林さんは、「今思うと、20代後半は結婚や出産のプレッシャーがつらかった」と語ります。

作品を通して、同世代の読者と共有したい思いを聞きました。

現実でも"4人で仲良し"

小説に登場する4人は、個性的なファッションで男好きな漫画家の「花乃子」、ある"性の悩み"を持つバリキャリの「百合子」、同じく多忙で現実主義者の「澪」、薄給に悩み転職を考え中の「亜希」。

高校時代からの付き合いで、性格も職業もバラバラだけど、全員揃えばコントのような会話が始まってお祭り騒ぎに。小林さんにも、実際にこういう友達がいるといいます。

「高校時代からずっと、私含めて4人で仲良くしています。内容のない寸劇のような話を延々としてしまう、みたいなのは、現実の私たちの実情に近いです。
たとえば、飼い猫に『この子は賢いからニャーバード大学に入れるね~』『この子は脚が長いからニャっ本体育大学だね』なんて言い始めて、だんだん専攻の話になって『東洋哲学を学びたいと言われたら反対するか?』まで脱線......なんていう話で1時間半はいけます(笑)」

6年かけて執筆した作品ですが、その間には、3人の親友のうちの1人と実際にルームシェアをしたことも。

「この小説みたいに『一生一緒に暮らそう』ということではなく、『どうせお互い結婚するだろうから、その前に2年だけルームシェアしとくか~』みたいな感じでした。趣旨は違いましたが、その時の経験は作品の細部に活きていると思います」

「4人で赤ちゃんを育てるかどうか」という展開も、ルームシェア時代に感じたことが下敷きになっているそう。

「友達と住んでいる時、もしここにペットとか赤ちゃんとかがいたら、いよいよ家族みたいになっちゃいすぎるかもと思ったんですよ。
ただ、20代後半は、仕事、恋、推し活......と忙しすぎて。もし女性だけの家で子どもを産むなら、特に東京では、大人が4人くらいいないと、時間的にも経済的にもきつそうという実感がありました。そこで小説では、具体的に『4人でどう家族をやっていくか』に焦点を当ててみました。
子どもを産むとなると、どうしても1~2年はキャリアが止まりますよね。でも、4人で子育てするなら、キャリアを止めなくてもいい役割の人も現れるんじゃないでしょうか」

作中でも、特に百合子は、バリバリ仕事に生きる人物として描かれています。実際に百合子のようなタイプの友達に取材して、リアルな働き方や人生設計を織り込んだそうです。

『たぶん私たち一生最強』(新潮社)

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]ギリギリの気持ちだったあの頃
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