出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2018/1/27

「父はゲイだった。私はレズビアンだった」...ニューヨーカーに衝撃与えた問題作『ファン・ホーム』が日本上陸!

父と娘の家族愛

本作は主人公アリソンの現在、学生時代、子供時代を3人の女優が演じ分ける劇構造になっています。それぞれのアリソンが共感しあいながらもすれ違い続けた父との思い出をたどっていきますが、そのストーリーは現在のアリソンが描く漫画という枠組みのなかで展開していきます。

作品のメインテーマはLGBTを取りまく社会の問題ではなく、父と娘の和解の物語であり、家族の再生の物語です。悲しみを背負いながらも漫画を描き続けていこうというアリソンの姿に観客たちは心を動かされます。そして、耳に心地よく美しい曲の数々とともに、いつの間にかアリソンと一緒に創造の旅に出かけていくのです。

演出はアメリカで演出を学び、今年の秋から新国立劇場演劇部門の次期芸術監督への就任が決定している新進気鋭の演出家、小川絵梨子が手掛け、瀬奈じゅん、吉原光夫らが難役に挑みます。

早くも今年最大の話題作の上演。日本のミュージカルの歴史が書き換えられる瞬間を劇場に確認しにいきませんか。


『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』

2月7日(水)~26日(月)シアタークリエ
全国ツアー公演
3月3日(土)~4日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
3月10日(土)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

出演:瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子、紺野まひる、上口耕平、横田美紀 他
原作:アリソン・ベクダル
音楽:ジニーン・テソーリ
脚本、歌詞:リサ・クロン
翻訳:浦辺千鶴
訳詞:高橋亜子
演出:小川絵梨子

作品の詳細は公式サイトで。

出雲 あきら 出雲 あきら(いずも・あきら)

演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に21回出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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