『FUN HOME ファン・ホーム』は、アメリカの漫画家アリソン・ベクタルの自伝的コミックを原作としてミュージカル化された作品で、2013年にオフ・ブロードウェイの小さな劇場で上演されました。上演開始直後から大変な話題となり、2015年にはオン・ブロードウェイの劇場に昇格。その年のトニー賞でミュージカル作品賞を含む主要5部門(脚本賞、オリジナル楽曲賞、主演男優賞、演出賞)を獲得しました。
この作品が特に注目されたのは、ブロードウェイ作品史上初めてレズビアンの女性を主人公とする作品であったからでした。
重く深いテーマを、斬新な脚本と演出で描いたこの作品は、時代の最先端をいくニューヨークの人々の心をしっかりとつかみました。
そんな話題作の日本人キャストによる上演を、東宝が早くも行うことになりました。思い起こせば、日本のミュージカルの歴史は東宝による『マイ・フェア・レディ』(1963年)の上演から始まりました。その後、その時代時代の最新作を数多く日本に紹介し、東宝が常に日本のミュージカル界を牽引してきました。
セクシャルマイノリティの主人公を描く、今最もホットな作品を、ニューヨークに負けない世界最先端の都市・東京で上演する。55年の時を経て、東宝が再び日本のミュージカルの歴史に新たな一歩を刻もうとしています。
父はゲイだった。私はレズビアンだった。そして父は自殺した。
ストーリーは主人公アリソンの自分探しの旅です。
アリソンはペンシルベニアの葬儀屋の長女として生まれ、漫画家として活躍しています。彼女は今、43歳。父ブルースが亡くなった時と同じ年齢に差し掛かっています。旅のきっかけは彼女が大学生のときの出来事。家族にレズビアンであることをカミングアウトしたところ、父親のブルースもゲイであり、それをずっと隠していたことが発覚します。その2週間後に、父親が突如トラックにはねられて亡くなります。アリソンは、父親は実は自殺したのではないかと疑います。なぜ父親は自らの命を絶たなければなかったのでしょうか? 真実を探るため、家族の日記、警察の資料、母親の告白などをひも解いていきます。
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