出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2016/9/14

【第48回】日本中が涙を流した感動のラブストーリーが再び!「歌姫」

歌姫

4年前に惜しまれつつ解散した宅間孝行率いる劇団「東京セレソンデラックス」で、最も泣ける作品といわれた『歌姫』が久々に再演されます。

劇団を解散した宅間は、"楽しめる、グッとくる、盛り上がれる!"を旗頭に最高のエンターテイメントを作り続ける「タクフェス」プロジェクトを始動させました。毎年1作品ずつ上演し、今回で4回目。満を持して東京セレソンデラック時代の最高傑作、『歌姫』を上演することになりました。

一番泣けるのはどの作品か?

思いっきり笑って、最後は号泣する劇団として人気を博した東京セレソンデラックス。熱狂的なファンたちはどの作品が一番泣けるのかを熱く語り合っていました。

後に堤幸彦監督・貫地谷しおり主演で映画化された『くちづけ』をあげる人、いや何度も再演され2年前にもタクフェス第2弾公演として再演された『夕』のほうが泣けるという人もいます。

しかし、私を含めて圧倒的に泣けると皆があげるのが『歌姫』です。2007年には長瀬智也主演でTBSの連続ドラマ化されたほど評価の高い作品です。

土佐のとある寂れた漁村にひっそりと佇む映画館「オリオン座」。時代の流れには逆らえず、ついに迎えた閉館の日。小泉ひばりが東京から息子を連れて訪れます。そこで最後に上映するのは1960代に作られた『歌姫』という作品。それは戦後のドサクサで記憶喪失になった男と彼を愛する女性の純愛の物語であるといいます。この映画を最後に上映することが、先月亡くなったこの映画館の持ち主、松中鈴の遺言でした。

この作品には一体どんな意味があるのでしょうか。そしてひばりがこの映画を観に来た理由は......。

上映を前にひばりのかつての記憶が蘇ってきます。ここオリオン座が活気づいていた頃、人々が映画に熱狂していた昭和30年代へと遡り、物語が始まります。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]昭和30年代のニューシネマパラダイス
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