出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2015/2/12

【第23回】ロンドン演劇界で注目の劇作家「ジェズ・バターワース」の作品が日本初上陸!

therivermv-0210.JPG

1995年『MOJO』で鮮烈なデビューを飾り、2009年『Jerusalem』で再びロンドンを興奮の渦に巻き込んだ若き劇作家ジェズ・バターワース。その最新作『The River』は、2012年10月にロンドン・ロイヤルコートシアターでオープンすると、連日早朝から当日券を求める列が絶えないほどの大ヒットとなりました。

アメリカ・ブロードウェイでも昨年10月31日より今年2月8日までヒュー・ジャックマン主演で上演され、大ヒットしました。今、世界の演劇シーンにおいて最も注目を集めている作品の日本初上演となります。

私のこと、捕まえられた?

作品の特徴は、リアルな男女の会話の中に詩的で美しい言葉がちりばめられ、現実と幻想が交錯しあう世界観にあります。今回演出を担当するのは次代の演劇界を担うクリエーターのひとりである青木豪。文化庁新進芸術家海外研修制度でのロンドン留学中にこの作品と出会い、独特の世界観とそこから紡ぎだされる真実に心を奪われたそうです。この大胆な戯曲を、濃密な演劇表現が可能な劇場空間で、熟練した俳優とクリエイティブスタッフと創り上げていきたいと意欲をみせています。

舞台は"男"の別荘である古びた小屋。崖の下には川が流れています。男は、そこに恋人と思われる"女"を招き、まるで何かに憑かれたかのように鱒釣り(フライフィッシング)に夢中になっています。今宵は一年に一度きりの新月。一方女は、真っ赤に染まる夕焼けに心を奪われています。

"女"は月の見えない、真っ暗闇の川で姿を消し、そして、その手に大きな鱒を持って突然男の前に現れます。しかし戻ってきたその女は......。

「私のこと、捕まえられた?」「ちゃんと見て。ほら、ここ。」女がずっと秘めていた想い。男が少年時代に受けた忘れられない衝撃。そして男をとりまく現実は、不可思議にループし始めます。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]交錯しあう男と女の現実、そして幻想
1

人気キーワードHOT

特集SPECIAL

ランキング RANKING