へんてこりんで面白い職業
森田さんが採用されたのは大型書店でした。いざ働きはじめると、レジの作業が複雑で、店内が広すぎて場所を覚えられず、ノベルティが多岐に渡るなど、「こりゃ私には無理かも......」と弱音を吐くこともあったといいます。
そんなある日、高齢の男性から声をかけられました。「ちょっと店員さん! 『名を名乗れ』って本を探してるんだけど」。タイトルで検索しても、それらしき本は見つかりません。困り果てていると、「映画にもなった本だぞ。本当にないのか? 孫に頼まれたのに!」とのこと。そこで森田さんの脳内に、ある作品が浮かびました。「『君の名は。』ですね!!」――。お客さんは喜び、満足そうに会計を済ませていったそうです。
そうか......これが書店員の仕事なのか。
「私、この仕事やっていけるかも」(中略)
こんなへんてこりんで面白い職業って、他にはないかもな......とあらためて思うのです。
「タイトルも作者もわからない」との問い合わせは、じつは日常茶飯事なのだとか。わずかな手がかりをもとに目当ての一冊を探し当てるとは、なんだか探偵みたいですね。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。