物語は......
桜井武史は35歳の舞台俳優。ある日、銭湯に行くと目の前で男が転倒し、ロッカーの鍵が目の前に転がってきました。桜井は自分の鍵とすり替え、男のロッカーへと向かいます。それはちょっとした出来心でした。一方、転倒した男は病院に搬送されますが、頭を強く打って記憶喪失になっています。所持品から、自分の名前は桜井武史だと思い込みます。退院の日、男は病院の前で雑誌編集者の水嶋香苗と出会います。香苗の車でアパートに向かうと、そこは古くて汚いアパートでした。どうやら自分は売れない役者らしい。男は桜井として生きる決意をするのですが......。
初演から3年ぶりに上演される今回の公演はキャストのほとんどを一新し脚本も演出もリニューアルされます。また、劇団として初めての試みとして入団3年目の若手を主演に据えた新人抜擢ステージを東京で2ステージ、大阪で1ステージ行うことになりました。新人達に負けまいと本公演のキャスト達が刺激を受けて猛稽古をしていると聞きます。初演をはるかに超えるレベルの高いステージが展開されるでしょう。
「一度も観劇経験がないので、何を最初に観たらいいのか教えて欲しい」という質問をよく受けますが、私はまずはキャラメルボックスを観に行くように勧めています。中学や高校の部活で演劇をやっている少年少女が一度は必ずハマるともいわれ、初心者でも確実に演劇の素晴らしさを味わえる、安心して勧められる劇団です。
この春、キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』で劇場デビューをしませんか?
キャラメルボックス2017スプリングツアー『鍵泥棒のメソッド』
東京公演:3月2日(木)~3月12日(日)サンシャイン劇場
大阪公演:3月18日(土)~20日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
原作:内田けんじ
脚本・演出:成井豊
出演:畑中智行、実川貴美子、岡田達也、西川浩幸、大森美紀子、森めぐみ、金城あさみ、大滝真実、山崎雄也、竹鼻優太、山根翼
ゲスト出演:石橋徹郎(文学座)、久保田秀敏
作品の詳細は公式サイトで。
出雲 あきら(いずも・あきら)
演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に20年出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。
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