出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2016/11/15

「エリザベ-ト」日本初演20周年記念 夢のガラコンサートが実現!

三井住友VISAカードpresents「エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート」

1996年、一路真輝のサヨナラ公演として宝塚歌劇団雪組にて上演されたウィーン発のミュージカル『エリザベート』。作品の舞台となったオーストリアから遠く離れた日本において、本国を凌ぐ人気を博し、毎年のように様々な形で上演されてきました。今回、日本における上演20年を記念したスペシャル・ガラ・コンサートが実現することになりました。

本国オーストリアを凌ぐ人気

19世紀後半のオーストリアを舞台に、長きに渡りヨーロッパに君臨してきたハプスブルグ帝国最後の皇后エリザベートの生涯を描いた本作は、1992年にウィーンで初演されました。オペラの盛んな国でミュージカルが受け入れられるのかという危惧もありましたが、ウィーンの若者たちの熱狂的な支持を受け大ヒット、その後世界各国で上演され、ドイツ語で書かれたミュージカル作品としては最大のヒット作となりました。

日本においては、この作品の評判を耳にした宝塚歌劇団の演出家小池修一郎の手により、ウィーン初演からわずか4年後に、どの国よりも早く宝塚歌劇団によって上演されたのです。その後、宝塚においてはその時代のトップスター達によって再演が繰り返され、2000年からは同じく小池修一郎の演出による東宝版の上演も始まり、宝塚版・東宝版ともにチケットがまったく取れない人気公演となっています。

では、なぜこの作品が日本で人気となったのでしょうか。遠い国の物語ながら、元々宝塚ファンの根底には、ヒット作『ベルサイユのばら』で描かれたマリー・アントワネットの生家ハプスブルグ家に対する親近感がありました。その上で、小池修一郎は女性(エリザベート)が主役であるウィーン版から宝塚の伝統である男役(黄泉の帝王、トート)を主役にした構成に変更し、ハプスブルグ帝国崩壊のストーリーに、エリザベートとトートとのラブストーリー要素を加えた演出にした結果、たちまち宝塚ファンの心を掴むことになったのです。

また、ミュージカル成功の鍵はすべて楽曲の出来にあると言われますが、ミヒャエル・クンツェとシルベスター・リーヴァイの手による数々の美しいメロディが、日本人の好みにピタリと合い、さらにウィーン版のオリジナル演出に近づけた東宝版の上演によって熱狂的なミュージカルファンが加わり、人気の裾野が広がっていったのです。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]贅沢な3つのバージョン!
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