出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2014/9/17

【第16回】夢の遊眠社の傑作『小指の思い出』再び 今もっともエネルギーある若手が野田戯曲に挑む

若き頃の野田戯曲の特徴が顕著に表れている

現代の物語に、中世の魔女狩りと、1980年代初頭ニュールンベルグの地下牢に長年にわたり幽閉された謎の少年カスパ-・ハウザーの物語が交錯しながら展開する野田秀樹独特の世界観。そして言葉遊びが随所にちりばめられた詩的イメージに満ちたセリフは、若き頃の野田戯曲の特徴が顕著に表れている作品です。

演出を担当するのは、新進気鋭の演出家、藤田貴大。象徴するシーンのリフレインを様々な角度から見せる映画的手法を特徴とし、2012年にはわずか26歳で岸田國士戯曲賞を受賞した、これからの活躍が注目される演劇人です。野田戯曲が本人以外の演出家により上演される機会はとても少なく、藤田演出に期待が高まります。

すべての演劇ファン必見の1作です!


『小指の思い出』
東京公演 9月29日(月)~10月13日(月・祝) 東京芸術劇場プレイハウス
作:野田秀樹
演出:藤田貴大
出演:勝地涼、飴屋法水/松重豊 他
作品の詳細は公式サイトで。


出雲 あきら(いずも・あきら) 出雲 あきら(いずも・あきら)

演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に20年出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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