井上ひさしが亡くなって間もなく4年が経とうとしていますが、井上作品の上演は続き、その人気は衰えることを知りません。井上は生涯で70近い戯曲を書き下ろしましたが、傑作といわれる作品は1つや2つではありません。一番好きな作品は何? と聞けば10人が10人、別の作品の名前をあげるに違いありません。私の最も好きな井上作品は『化粧』です。これは日本の戯曲の最高峰だと思っています。その『化粧』がこの春、小劇場演劇のメッカといえる紀伊國屋ホールの開場50周年記念作品として再び上演されることになりました。
海外でも評価の高い傑作
『化粧』は、1982年に木村光一演出、渡辺美佐子主演で初演され、28年の間に海外も含めて600回を超える上演回数を記録した傑作です。
井上ひさしが亡くなった翌年の2011年、長年にわたり上演されてきた垢を落とすために、初演版の脚本にもう一度立ち返った新しい『化粧』が上演されました。鵜山仁の演出と文学座の看板女優・平淑恵の出演による新演出版は、初演版を超える評価と、連日大入り満員を記録しました。
そして今年、この新演出版『化粧』が再び上演されることになりました。
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