ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した大河小説をベースに、1985年ロンドンで初演されたミュージカル『レ・ミゼラブル』。19世紀のフランスを舞台に、格差と貧困にあえぐ民衆が自由を求めて立ち上がる姿をえがいた本作は、世界中で愛され、日本にも多くのファンがいます。ロンドン初演から2年後には帝劇にて上演が開始され、現在まで2817回という東宝演劇史上最多の上演回数を積み重ねています。
なぜ、こんなにも日本人に愛される作品なのか。ひとつには原作が「ああ無情」として翻訳され、小学校の教科書にも載せられた時期もあり、ジャン・バルジャンと銀の燭台のエピソードが広く日本で知られていたことが挙げられます。しかし、それ以上に膨大な原作が3時間に凝縮され、美しい楽曲の数々とともに描かれる"人を愛すること""赦すこと"というテーマが日本人の心を打ったからではないでしょうか。
そして本年4月、再び上演が決定し、約6か月間にわたる日本全国公演が始まります。
映画版も日本が突出して大ヒット
2012年12月、ミュージカル版をベースとした映画版『レ・ミゼラブル』(トム・フーバー監督、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ 他)が公開され、全世界で大ヒットを記録。撮影と同時にキャストの歌声を録音するという前代未聞の試みは、ミュージカル映画の常識を覆し、圧倒的な臨場感とスケール感を生み出しました。
日本国内でも興行収入58.9億円の大ヒットを記録。ミュージカルファンだけではなく、普段映画を見ない人たちも多く劇場に駆けつけ、アメリカと本国のイギリスに次ぐ世界的にも突出した興行収入をあげました。
映画公開から半年後の2013年夏に帝劇をはじめとして全国で再演された新演出版は、映画版の要素も取り入れつつ、初演から25年以上繰り返し上演されてきたオリジナル演出を一新したものとなりました。映画版を見てこの作品のファンになった人たちも劇場に駆けつけ、チケットがまったくとれないほどの大ヒットになりました。今回の上演もこの新演出版での上演となります。
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