2024/7/12

スマホばかりで本が読めない...。なぜ仕事と読書の両立は難しい?現代人の"あるある"悩みに迫る。

読書って「ノイズ」だらけ...だけども...

本書は一気に明治までさかのぼり、大正、昭和戦前・戦中、1950~60年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代と、日本人の仕事と読書のあり方の変遷をたどります。そして最後に「働きながら本を読める社会」をつくるための提言が書かれています。

まず、キーワードの1つ「ノイズ」を見てみましょう。ここでいう「ノイズ」とは、「他者や歴史や社会の文脈」のこと。読書離れといわれて久しいですが、じつは1990年代から自己啓発書の市場は伸びているそうです。それは自己啓発書が、自分でコントロールできる行動の変革を促し、自分ではコントロールできない社会を「ノイズ」として除去するものだから。

しかし、読書はそもそも、自分が知らないことを取り入れるもので、ページをめくった先に何が待っているかわかりません。つまり「アンコントローラブルなエンターテインメント」で、「ノイズ」だらけなのです。

2000年代、インターネットによって生まれた情報が台頭しました。読書で得られる知識とインターネットで得られる情報の違いは、「ノイズ」の有無。スマホは見られるのに本を読めないのも、インターネットは「ノイズ」なしに自分が知りたいことだけを知れるからだと、三宅さんは指摘します。そのうえで強調しているのが、「ノイズ」の大切さです。

大切なのは、他者の文脈をシャットアウトしないことだ。
仕事のノイズになるような知識を、あえて受け入れる。
仕事以外の文脈を思い出すこと。そのノイズを、受け入れること。
それこそが、私たちが働きながら本を読む一歩なのではないだろうか。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]「全身」をやめて「半身」で働く
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