仏像とアイドルは似ている?
みほとけさんは以前アイドル活動をしていた時期があり、AKB48のファンでもあります。大好きな仏像と大好きなアイドルの共通点を聞くと、すぐに「めちゃくちゃあると思います!」という返事が。
「仏像がまつられる空間は、アイドルでいうところのステージだと思うんですよ。仏像は須弥壇(しゅみだん)という壇に乗っていて、お香とろうそくを焚いて、お花を飾って、荘厳(しょうごん)という飾りつけをするルールがあります。そうすることで、仏像がようやく仏様として本来あるべき力を発揮するんです。アイドルにとっての、ステージと音響と照明があってスモークが焚かれて......というのと同じような感じですね。
そして、最終的には、ファンが見て応援することでアイドルというものが完成するじゃないですか。仏像もただポンとあるだけじゃなくて、手を合わせる人がいて心が通じ合って、仏様が完成するんです」
本の中にも、「どれだけ美しくても拝まれていなければグッとこないし、逆にボロボロでも仏様の役割を果たしているとグッときます」という一文が。お堂で拝まれてきた仏像は、美術品として飾られる仏像とは「何か違う」そう。これから仏像を拝観してみたい人にも、「美術館の仏像もいいですけど、お堂で、ステージにいる姿を拝観してほしいですね」といいます。
もう一つ、仏像とアイドルの共通点を挙げてくれました。それは、「自分との距離感」。
「アイドルって、握手会とか直接会える機会はありますけど、基本的に完全に他人じゃないですか。友達でも何でもない。仏像も、どう頑張っても完全に第三者ですよね。自分と無関係な存在だからこそ、自分の心を素直に投影できるというか。応援したいとか癒されたいとか、自分の本当の気持ちを打ち明けられるんです」
両者の違うところも聞いてみました。一つは、仏像には癒されて副交感神経がはたらき、アイドルには興奮して交感神経がはたらくというところです。ただ、仏像にも圧倒されて興奮することがあるので、「両方ある感じ」だそう。もう一つの違いは、「時間軸」です。
「アイドルは刹那的ですよね。今だからこその感動というか。仏像は平気で千年とか超えてくるので、ものすごい偉大なるものに抱かれる感覚なんですよ。昔の天皇と同じ仏像を拝んだりして。過去や未来と共通の経験ができるんです。めっちゃロマンですよ」
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。