2024/1/25

「もっと気楽に生きていいんだ」南沢奈央さんを救った"居場所"とは

「推し活」ブームの今、「好き」にまっすぐ生きる人たちは、どんな熱いハートを持っているのか? 「好き」をとことん掘り下げる連載「好きってなんなん?」第1回目は、大の落語好きとして知られる俳優の南沢奈央さんにお話を伺った。

2023年11月1日、落語愛をたっぷりと語ったエッセイ『今日も寄席に行きたくなって』(新潮社)を上梓した南沢さん。本書でも「もはや生活の一部」「人生観が変わった」と書いているが、落語がそこまで大きな存在となった理由とは。目をきらきらと輝かせて語ってくれた。

※この記事は、2023年11月28日に「BOOKウォッチ」に掲載されたものです。

悩んでいた頃の出合い

落語との出合いは高校時代。読書感想文の課題で読んだ、佐藤多佳子さんの小説『しゃべれども しゃべれども』(新潮社)がきっかけだった。くすぶっている若手落語家のもとに、ひょんなことから「しゃべる」ことにコンプレックスを持つ4人が集まり、落語指南を通して成長していく物語だ。

「私ももともと人見知りで、登場人物たちにすごく共感したんです。ちょうど高校1年生の時にこの仕事を始めたのもあって、大人の方とどう接したらいいんだろう、どう自分を表現したらいいんだろうと悩んでいた時期でした。そんな時にこの小説を読んで、『落語を聴いたら私も変われるかもしれない』と思ったんです」

図書館で落語のCDを借りて聴いてみたところ、言い回しが独特で全然聞き取れないのに、いつの間にか笑っていた。その日から落語のとりこになり、高校生の間は毎日、携帯音楽プレーヤーにダウンロードした音源を聴きながら登下校していたという。

大学生になってから初めて寄席へ。音だけでも大好きだったが、生で聴く面白さは「全然違いました」。昼の部の5時間弱の間、落語家や「色物」と呼ばれる芸人が入れ代わり立ち代わり登場し、寄席を出る時には「遊園地で一日遊んだ帰り」のような気分に。

「一生の趣味に出合っちゃった、と思いました」

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]「推し落語家」はどんな人?
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