あなたの不安は、脳の"勘違い"...メンタルに効く「発想の転換」方法って?
いつも幸せではいられない
読んでいるうちに、感情やメンタルのとらえ方が変わってきました。鬱々としているとき、そんな自分に嫌気がさして、ますますどつぼにはまりがちですが、一歩引いたところから見られるようになってきたのです。
なぜ感情があるのか。なぜ不安を感じるのか。こうならないように○○する、こうなったら○○する、という方法を知ること以上に、そもそものところから知ることがメンタルに効くのだなと、個人的には思いました。
たとえば、「脳は幸せなんてどうでもいい」とあります。何か1つ手に入ると、また次の何かが欲しくなる。欲望が満たされて幸福なのは、一瞬です。なんて欲深いのだろうと、またしても嫌気がさしますが、これも脳の機能によるもの。
幸せという感情は消えるもので、そうでなければ役に立ちません。エヴァがサバンナの木の下で美味しい果物を食べて永遠に満足してしまったら、数週間以内に飢え死にしたでしょう(しかも満足な笑みを浮かべたまま)。私たちは常に新しいゴールを設定します。そうやってこれまでずっと生きのびてきたのです。
なんだ、幸せはずっと続かなくて当たり前だったのかと、気が楽になります。本書は、脳科学からメンタルの問題を解説した世界的ベストセラー『ストレス脳』(新潮社)を、よりわかりやすくコンパクトにしたもの。書店やランキングで何度も見かけて、気になって手にとりました。
10代向けとのことですが、親世代が読んでも知的好奇心をそそられっぱなし。至近距離で真正面から見ていた自分を、一歩引いて別の角度から見られるようになったことが、大きな収穫でした。読んだらすぐ人にすすめたくなる、一読の価値がある「心の取説」です。
(Yukako)

『メンタル脳』アンデシュ・ハンセン、マッツ・ヴェンブラード 著/久山葉子 訳(新潮社)
■目次
はじめに――人は「いつも幸せ」でいられるだろうか
第1章 なぜ私たちは生きているのか
第2章 なぜ感情があるのか
第3章 なぜ不安を感じるのか
第4章 なぜ記憶に苦しめられるのか
第5章 なぜ引きこもりたくなるのか
第6章 なぜ運動でメンタルを強化できるのか
第7章 なぜ孤独とSNSがメンタルを下げるのか
第8章 なぜ「遺伝子がすべて」ではないのか
第9章 なぜ「幸せ」を追い求めてはいけないのか
おわりに――人間はこんな風にできている
■アンデシュ・ハンセンさんプロフィール
1974年生まれ。精神科医。スウェーデン・ストックホルム出身。ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得後、名門カロリンスカ医科大学で医学を学ぶ。『スマホ脳』『ストレス脳』『運動脳』が世界的ベストセラーに。科学ナビゲーターとしても各メディアで活躍中。
■マッツ・ヴェンブラードさんプロフィール
1964年スウェーデン・ストックホルム生まれ。児童文学作家。
■久山葉子さんプロフィール
くやま・ようこ/1975年兵庫県生まれ。翻訳家。エッセイスト。神戸女学院大学文学部卒。訳書多数。
画像提供:新潮社
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