警告を発するのが好きな部位
感情も行動も、自分の意思でそうなっているものと思い込んでいましたが、脳はそんな重要な任務を遂行していたのですね。ただ、恐怖や不安の感情はしんどいもの。なんでも脳は過去1万年、基本的に変わっていないといいます。現代は数千年前ほど多くの危険がないにもかかわらず、脳は昔と同じように危険を認識してしまう。だから私たちはむやみに危険を感じたり、悪いことが起きていると思ったりするのです。
ここで押さえておきたいのが、脳内の扁桃体(へんとうたい)という部位の役割です。その1つに、「脳の警報センター」があります。「肝心な時に鳴らし損なうよりは鳴らし過ぎた方が良い」という仕組みで、ちょっとした危険でも警報を大々的に鳴らします。
強い不安を感じると、手は冷たくなるし、頭は真っ白になるし、「もはや絶体絶命」という心境になりますよね。そんなときは、「扁桃体が勘ちがいしているだけだ」「警報器の誤作動だ」という発想の転換を。
脳にしてみれば、不安は「危ないかもしれない」と警告する手段なのです。不安は自然な防御メカニズムで、人類の歴史を通じて私たちを危険から守ってきました。ですから不安を感じるということは人間として正常に機能している証拠でもあるのです。
「不安は危険なものではない」「自分がおかしいのではない」という著者のメッセージは、不安のまっただ中で思い出したいものでした。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。