自然と本音トークが出てくる場所
(ブルーベリーアイスとエチオピアのセットは980円。コーヒー2杯目から半額だそうです)
ブルーベリーアイスとエチオピアコーヒーのセットを頼みました。他には、キウイ&コスタリカ、湘南ゴールドみかん&ニカラグア、といったマリアージュセットが。舌の上でコーヒーの苦味とブルーベリーの酸味が溶けていきながら絶妙なハーモニーを奏でます。
メインのメニューがなんでアイスなのか少し疑問だったのですが、銭湯といえばお風呂から出てアイスが食べたくなるので、そういうつながりかもしれません。
(この空間にマッチした抜け感のある家具。この引き戸ごしの奥が建築事務所です)
本棚が建築関係の本ばかりだと思ったら、脱衣所の奥の浴室ゾーンはここのリノベーションを手がけた建築事務所のようでした。この仕事環境、リラックスしてアルファー波が出て、発想が次々わいてきそうです。事務所側を見ると男湯と女湯をへだてる壁が結構低いのにも、日本人の身長の変化と歴史を感じました。
隣のファッション誌撮影の方々は、番台に座ってみて「眺めが良いね」と楽しんでいました。「この前苦行に近い撮影があって......遠くに行くわけでもないのに朝2時集合で鬼って思いました」と、撮影裏話が聞こえてきます。
(空いていれば番台に座ってみる体験もできそうです。ガラスごしに「男」の表示が)
もしかしたら銭湯という裸になる空間にいると、心がオープンになって自然と本音トークが出てくるのかもしれません。私はひとりで座っていただけでしたが、次回はぜひ誰かとここで語りたいと思いました。
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ
ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。