原宿はファッションの街。その言葉を象徴するように、表参道や竹下通りなど通りによって、ショップの雰囲気や行きかう人の装いがまったく違います。今回は、原宿の代表的な通りを5つのブロックに分け、それぞれの"攻略法"をお伝えします。
1 竹下通りブロック/原宿の玄関口 おもちゃ箱をひっくり返したようなワクワク感1番人通りの多いのが竹下通りです。原宿駅の竹下口を出て、緩い坂を下り、明治通りに突き当たる350メートルの細い路地には、ファッション、アクセサリーをはじめ、クレープ屋さんや占いにいたるまで、色んなお店が軒を連ねています。特徴的なのは、パンクやロック系、ロリータ系のコスチューム専門店など個性的な店舗が並ぶこと。その数は200軒を超えています。
どのお店も価格的にお手頃なものが多いので、修学旅行生や原宿ビギナーのティーン層を中心に人気の通りです。最近では、海外からの観光客も多くなりました。
原宿らしい"ごちゃごちゃ感"や"おもちゃ箱感"を楽しみたい人にはぴったりです。土日や昼間の時間帯は常に混んでいるので、行くなら大方のお店がオープンする11時頃と、夕方17時以降がオススメです。
2 明治通りブロック/最新トレンドを知るならココ 話題のファッション、注目ブランド目白押し原宿を代表する通りといえば、明治通りです。「ラフォーレ原宿」を筆頭に、「東急プラザ表参道原宿」、「H&M」、「forever21」など、人気の高いブランドの旗艦店やセレクトショップ、雑貨ショップなどが並んでいます。大通りにふさわしく、ガラス張りのモダンな大型店舗という点も特徴です。
日本初上陸ブランドや注目ショップがいち早くオープンすることでも知られ、明治通りを歩けば、話題のファッションが実感できます。近頃では、雑貨ストア「ASOKO」をはじめ、10月には、「niko and... TOKYO」のオープンが予定されており、ライフスタイルや雑貨関連のショップが増えています。
通りに面したショーウィンドゥには、ショップが一番伝えたいファッションがディスプレイされています。散歩がてら眺めるだけでも、ぎゅっと濃縮された最新トレンドが分かります。
3 表参道ブロック/まずはストリートファッションを観察 オシャレの達人を目指すならココ表参道は、歩道の幅が広く、けやき並木が繁り、街歩きにふさわしい通りです。原宿駅から明治通りまでのエリアは、「ナイキ」「プーマ」などのスポーツショップの他、おもちゃで有名な「キディランド」、古着ショップなどがあり、若者ファッションの代表的なエリアです。
表参道と明治通りが交差するあたりでは、雑誌の取材スタッフがいつも目を光らせています。オシャレな若者に声をかけるシーンは有名ですね。明治通りを超えて青山方面に向かうと、「表参道ヒルズ」をはじめ、「ジャイル」、「ONE表参道」などのブランドのブティックを集積した商業施設ほか、「ルイ・ヴィトン」「グッチ」など、いわゆるビッグ・メゾンの店舗が並び、ほかのエリアとは少し異なる、大人の原宿が展開されます。
歩き疲れたら、歩道のフェンスに腰をかけて、行き交う人のファッションをチェックしてみるのもいいでしょう。ある意味"オシャレのプロ"が行きかっているので、自分のファッションに取り入れられるヒントがたくさん見つかるかもしれません。
4 裏原宿ブロック/気負わず探検気分で! 面白いショップに出会える場所竹下通りを過ぎて、明治通りを超えた先にある、細い路地が交錯した一体が、通称"裏原"と呼ばれるエリアです。従来は閑静な住宅街だった場所です。先鞭は「ビームス」ができた1970年代ですが、1990年代に若手のデザイナーが賃料の安いこのエリアに目をつけて、「NOWHERE」「ヘッドポーター」などのブティックを開き、音楽やスポーツなどのカルチャーをアイデアソースにしたスタイルを提案しました。店舗には行列ができ、カリスマ的な人気となり、裏原宿の知名度を一気に高めました。2000年代以降、ブームは沈静化しましたが、キャットストリートの人気と相まって、カジュアルなファッションのお店や雑貨店、サロンや古着店など、こじんまりとした店舗が並び、原宿のもう一つの魅力を知ることができます。
ここは"宝探し"の場所。路地の奥の奥までお店があるので、探検気分で行きましょう。古い建物を再利用した店、オーナーのセンスが発揮されたインテリアなど、個性的な店舗に遭遇することもできます。感性を刺激されますね。
5 キャットストリートブロック/原宿でデートするならココ 2人の距離も縮まるエリア明治通りに並行した遊歩道の正式名称は「旧渋谷川遊歩道路」といい、1960年代までは、渋谷川が流れていました。キャットストリートの由来は諸説あり、野良猫が多かった説や、香港のキャットストリートのようにしようと命名された説、原宿の老舗「ピンクドラゴン」の店員が結成したバンド「ブラックキャッツ」をもじった説などありますが、もともとは明治通りの人ごみを避ける裏道として用いられる程度で、非常に静かな通りでした。
ところが、1990年代後半から、セレクトショップや海外ブランドの路面店、古着や雑貨店、カフェなどが多数出店するようになりました。車が入れない静かな通りということで、ゆったりと買い物を楽しむことができ、カップルや原宿を熟知したオシャレな人の多い通りです。
表通りの混雑ぶりと比較すると、人の通りもほどほどなので、原宿でデートをするならこの界隈がおすすめです。小腹がすいたら、二人でたこ焼きをハフハフしながら分け合うと、より親しくなれるかも?
5つの通りごとにファッションも街並みも違うので、一度歩いて自分に合う通りを見つけてみてください。足元はスニーカーや履き慣れた靴がオススメです。
プロフィール
渡辺明日香 共立女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。共立女子短期大学准教授。ストリートファッションの定点観測に基づく現代ファッションの研究を行う。著書に「ストリートファッションの時代」(明現社)、「ストリートファッション論」(産業能率大学出版部)、「新装改訂版 日本のファッション」(青幻舎)など。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。