「Harajuku "kawaii" Experience」というワールドツアー
そんなふうに盛り上がりを見せた原宿も徐々に姿を変えていきました。ゴミや騒音の問題による「ホコ天」の閉鎖に続いて裏原ブーム、ファストファッションの台頭、海外ブランドの進出など、かつて個性を競い合いみんなが集まる場所という原宿ではなくなっていったのです。
しかし日本では"終わった"と思われた原宿カルチャーは意外にも海外で盛り上がりを見せました。海の向こうでは、女の子たちが、「原宿」をイメージしたカラフルでポップなファッションを楽しんでいたのです。
2009年、セバスチャン氏は、サンフランシスコに期間限定ショップを出し、オープニングイベントのステージを開催し成功をおさめます。それを機に、世界各都市を巡るワールドツアー「Harajuku "kawaii" Experience」をスタート。2010年にはロンドン、パリ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、原宿の各都市に出向き、各地の女の子とともに作り上げたショーやトークイベントには数千人の観客が押し寄せました。
「これらのワークショップ&ファッションウォークは各地のボランティアモデルをフェイスブックで募ったんです。お客さんもSNSでの呼びかけだけでこんなに集まるなんて」と、セバスチャン氏も驚いたそうです。
セバスチャン氏による「原宿kawaii」旋風が海外で起こり始めた矢先の2011年、東日本大震災が起こります。
被災地から離れた原宿にも暗い影を落とし、震災以来、原宿の街が静まりかえってしまったのです。
震災から立ち上がろうとする日本。そんな中、原宿からのメッセージをどう伝えるか悩んだセバスチャン氏。東日本大震災以降のセバスチャン氏の新たな挑戦とその軌跡については次回のレポートで。
増田セバスチャン:アートディレクター/アーティスト
6%DOKIDOKIプロデューサー
1970年生まれ。演劇・現代美術の世界で活動した後、1995年に"Sensational Kawaii"がコンセプトのショップ「6%DOKIDOKI」を原宿にオープン。原宿kawaii文化をコンテクストとした活動を行っている。2009年より原宿文化を世界に発信するワールドツアー「Harajuku"Kawaii"Experience」を開催。
2011年にきゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」MVの美術で世界的に注目され、2013年には六本木ヒルズ「天空のクリスマス2013」でのクリスマスツリー『Melty go round TREE』を手がけ、2014年11月には初監督を務めるサンリオ映画「くるみ割り人形」が公開予定。
初の個展「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」がニューヨークに続き、2015年1月までマイアミ「Young at Art Museum」にて開催中。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。