出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2014/8/15

【第15回】超人気劇団「ヨーロッパ企画」の最新作がやって来る ビルのゲートとビル・ゲイツの話って本気ですか、上田さん!!

毎回ハッとするほど斬新な仕組みが満載でありながら、安定した面白さを約束してくれる人気劇団「ヨーロッパ企画」の最新作がこの夏、全国で上演されます。

瑛太、長澤まさみ主演で映画化もされる人気ぶり

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劇団のすべての脚本・演出を務めるのは上田誠。1988年、上田を中心に同志社大学の演劇サークル「同志社小劇場」内に結成されたユニットが原型です。上田が設計したトリッキーな劇構造を、日常会話を積み重ねてコメディへと昇華させる息の合ったアンサンブルは、ユルさと緻密さを同時に内包するという独特な魅力で、幅広い観客の支持を得ています。年に1回の本公演は、国内各地を巡演し毎年1万人以上を動員しています。結成以来、創作のベースを京都に置きながら、全国へと意欲的に舞台作品を発信し続けている劇団なのです。

また、この劇団は舞台に留まらず、テレビやラジオの企画制作や、イベント、ショートムービーや携帯アプリの制作など、舞台で培った技術を活かしたコンテンツ制作をマルチに展開している異色の劇団でもあります。

映画やテレビ業界に関わるスタッフは若き才能を探して日夜劇場に足を運んでいますが、客席でそういった業界人を多く見かけるのは、最近ではこのヨーロッパ企画が一番ではないでしょうか。映画『踊る大捜査線』の監督で知られる本広克行氏もこの劇団の作品を観てファンになった一人です。本広氏は劇団の初期の作品である『サマータイムマシン・ブルース』を2005年に瑛太主演で映画化しました。続いて2009年には『冬のユリゲラー』を長澤まさみ主演で『曲がれ!スプーン』というタイトルで映画化し、ヒットさせました。劇団のメンバーも最近ではテレビドラマや映画、CMなどでよく見かけるようになっています。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]芝居とは思えないナチュラルな会話もアドリブではない
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