クリスマスまであと1か月となり、百貨店や人気パティスリーでは華やかなクリスマスケーキの予約が始まった。そんな中、ひそかに人気を集めているのが、お寿司の具材だけでつくる「デコ寿司ケーキ」だ。
デコ寿司ケーキとは、デコレーションケーキを模して、寿司飯の上にネタを飾った豪華で美しいちらし寿司のこと。甘いものが苦手な人やお年寄りへの需要として誕生したが、見た目のユニークさが受け徐々に幅広い世代に人気が高まっている。
福岡県の創作寿司工房「竜宮城」は、2006年からデコ寿司ケーキを販売。今では地元の人たちだけでなく、通信販売で全国から注文が来るほど人気だ。同店ではバレンタイン、ひな祭り、母の日・父の日などシーズン用のケーキも製作しており、07年にクリスマス用も販売を開始。毎年120個以上の注文があるという。
「ご家族からの注文が多く、生クリームが苦手なお子様からも喜ばれますね。本格的なケーキボックスに入れているため、開けてみて驚いたという声も多く届いていますよ」とは、同店料理長の佐々木竜二さん。「2012 クリスマス 寿司デコケーキ」(4920円/4~5人用)は、12~13種の新鮮なネタで飾りつけられた "ホール寿司"で、ツリーに見立てたサーモンやサンタクロースの人形も飾るなどビジュアルにもこだわっている。ひとつひとつ手作りのため、用意できる量は限られるが、注文はことしも好調だという。
一方、この寿司ケーキ人気を旅行プランに取り入れたのは、大手旅行会社JTBだ。関東地区8県の30 軒の旅館・ホテルで、オリジナルのデコ寿司ケーキを楽しめる「賀寿セレモニー宿泊プラン」を、10月から発売した。
同社販売企画担当・北上和博さんは、「3世代で還暦や古希などの長寿を祝う目的で、震災以降高まっている絆を大切にしたプランです。そのため、寿司ケーキを売るのではなく、出すタイミングなどお祝いの演出にこだわっています」と、コメント。旅館やホテルの板長と何度も相談を重ね、それぞれの個性が光るオリジナルのデコ寿司ケーキが出来上がった。プラン価格は、大人1人1万3300円~(栃木県・鬼怒川温泉「鬼怒川温泉ホテル」5 名1 室利用の場合)など。オリジナルの寿司ケーキで長寿のお祝いを演出してくれることを考えれば、お得な価格だ。プランは2013 年3 月末までの設定。
年配の人だけでなく若い人にも意外性が受けているデコ寿司ケーキ。クリスマスの楽しみ方もまたひとつ多様性が生まれそうだ。
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