「子どもの頃見ていたものが、こんなに長く続くジャンルになるとは思わなかった」と言う中森さん。アイドルがこんなにも人を惹きつけ、必要とされ続けるのはなぜなのだろうか。
「アイドルは神や宗教の代わりなんだともよく言われますが、僕の説は少し違います。キリスト教や仏教といった宗教が生まれるよりもずっと前から、実はアイドルはいたんじゃないかと思うんですよ」
中森さんの説は人類誕生にまでさかのぼる。参照するのは、ヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』(河出書房新社)。この本によると、力の弱い人類が地球全体に広がれた理由は「虚構を信じたから」だという。村、掟、貨幣といった「虚構」を通してつながり合うことで、協力して生息域を広げることができた。中森さんはハラリの説をもとに、こう説明する。
「虚構の力で人類があちこちに移動した後、定住して農業が始まりました。人口が爆発的に増えて寿命ものびた一方で、農業はものすごく手間がかかるし、必ずうまくいくとも限りません。不作の年には耐えがたい飢えがあったでしょう。 うまくいかない時に、人にできるのは祈ることだけです。これも虚構を信じることですよね。歌って踊れば、祈りが届くと信じる。そうやって、最初に歌った人、最初に踊った人がきっといたはずです。それが人類初のアイドルだったんじゃないか......と僕は考えています」
芸能は、政治や学問や宗教よりもはるかに古いもの。人類のDNAに刻まれている歌いたい・踊りたいという欲求を、人は祭りやライブで解放してきた。
「学校に行ったり仕事したりといった近代的な営みだけでは、人は生きていけないですよ」
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。
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