2024/1/25

「もっと気楽に生きていいんだ」南沢奈央さんを救った"居場所"とは

ダメな自分も愛せるように

「自分に自信がない人や悩んでいる人は、ぜひ落語を聴いてみてほしい」と南沢さんは言う。

「私は人見知りですし、ずっと完璧主義で、失敗することが恥ずかしいと思うタイプでした。でも、落語にはダメダメな人物がいっぱい出てきます。そんな人たちの話を聴いていると、『私の弱さとか失敗とか、どうでもいいな!』と思えてきちゃうんです」

とことん商売に向いていない旦那や素直になれないおかみさんなど、落語にはチャーミングな欠点・弱点のある登場人物がたくさん出てくる。彼らのダメダメな部分が、ストーリーの中で笑いや愛おしさに変わっていく。

さらに、落語家自身もまるで落語のようなエピソードを持っている人が多い。南沢さんとも親交がある女流落語家・蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)さんは、かつて初めて高座に上がった時に緊張でストーリーが飛んでしまい、なんとお客さんに「この後どうなるんでしたっけ?」と聞いたのだそう。

「私だったら『もうだめだ』と思ってしまうような場面で、自分なりの笑いに変えて成長していくのがすごく素敵だなって。このお話を聞いて、失敗も経験しないと私も変わっていけないなという気持ちになれました」

寄席に遅刻してくる落語家も時にいるという。そんな時でも、お客さんは面白いハプニングとして喜んでいる。「きちんとすることが全てじゃない。何でもアリ、何でも面白い」という寄席のおおらかな雰囲気が、南沢さんの心をほっとほぐしてくれる。

「『しゃべれども しゃべれども』もそんな物語なんですが、落語を聴くと肩の力が抜けて、もっと気楽に生きていいんだなという気持ちにさせられます。私はそうやって落語に救われてきました」

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]寄席は、一番自分らしくいられる場所
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