新旧原宿駅の世代コラボ【辛酸なめ子の東京アラカルト#37】
(立派な新駅舎。エスカレーターで上がれるのもありがたいです)
慣れ親しんだ原宿駅の建物がついにリニューアル。前のシルバニアファミリーみたいな建物が結構好きだったので残念です。
大正13年に建てられた都内最古の木造駅舎、もしかしたら曾祖父母レベルの先祖が同じ景色を見ていたかもしれないと思うと感慨深いものがありました。
(隣に静かに佇む旧駅舎。古いですが大正ロマン風でかわいいです。「お疲れ様です」と声をかけたいです)
その駅舎の隣、これまで何があったのか今となっては思い出せない空間に、新しいガラス張りの駅舎がいつの間にか完成。さっそく行ってみました。
プチ食欲と物欲なども満たせる新駅舎
内回りのホームに降り立ったら、片側は電車が止まってもドアが開かないことに気づきました。内回り、外回りのホームが別々になったのが大きな変化です。
(原宿駅のホームは内回りと外回りが分かれて歩きやすくなりました。代々木公園などでイベントがあって混雑する時に便利です)
個人的には、そのあと行く街を決めていない時、先に電車が来た方向に行く、という決め方ができなくなってしまいましたが、ホームが分かれて混雑が緩和され、安全度が高まるのはいいことです。
エスカレーターを上がると、ガラス張りで明るい駅舎に入りました。
(二階を見上げると仕事している人がいらっしゃる中二階。壁のデザインに旧駅舎の名残が)
これまでの旧駅舎への左側の通路は封鎖されていてちょっと寂しいです。新しい駅舎は一階がNEWDAYS、二階には猿田彦珈琲、そして見上げるとオフィスらしき空間で人が働いているのが見えました。駅歩0秒、羨ましいです......。
原宿のおしゃれ感とはとくに関係ない普通のオフィスなのが堅実で良かったです。
こちらのNEWDAYSの特徴は、東京みやげコーナーがあるということでしょうか。東京ミルクチーズ工房、東京カンパネラ、東京ばな奈など、東京アピールが激しいです。
(地下鉄明治神宮駅に下がったところにあるオーガニックスーパー、ビオセボンも穴場なおすすめスポットです。お弁当から野菜まで......)
明治神宮でピクニックする人向けか、レジャーマットも売られていました。そして旧駅舎にノスタルジーを感じる人向けに、旧駅舎のイラスト入りクリアファイル、マグカップなども。
思い出に浸りつつ、階段を上がって猿田彦珈琲へ。駅ナカのカフェは貴重です。
(広くて行けば結構な確率で席がありそうな猿田彦珈琲。原宿の街を見下ろしながらのカフェタイムも)
足を踏み入れると100人は入れそうな広大な空間。ところどころ電源もあります(ちなみになぜか一階NEWDAYSのイートインコーナーの電源はカバーがかけられて使えなくなっていました)。
猿田彦珈琲のグッズ売り場にはコーヒー豆だけでなく、コーヒー染めのシャツなど売られていました。このお店だけの限定のコーヒーやフードもあるようです。
駅直結で食事の需要が高いのか、平日夕方行ったらホットサンドのメニューが2つソールドアウトでした。でも、駅前を行き交う若者たちのエネルギーを吸収していたら不思議と空腹感を覚えませんでした。
少し休憩し、外に出て旧駅舎に心の中で挨拶。ふと時計が目に入り、もし止まっていたら切なすぎる、と思ったのですが、ちゃんと動いていました。今の時間でした。しばらく旧駅舎も生きていることを確認し、安堵。解体されるまで、曽祖父と孫みたいな駅舎のコラボを見られるのも貴重です。
(アットコスメ東京の隣の、もうすぐオープンしそうな施設に謎のオレンジの人が)
(空いていそうな動物カフェで動物と触れ合うのもおすすめです。写真は原宿かわいい動物園のカピバラさん)
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。