「チームラボ プラネッツ」でデジタルアートの洗礼を受ける【辛酸なめ子の東京アラカルト#18】
先日DMMグループ本社のオフィスに行く機会がありました。デジタルアートに浸れる最先端のオフィスで、会議室に案内してくれるのは、廊下に投影されたデジタルの動物の映像だったり、圧倒されつつもこの会社とチームラボの深い関係を感じさせられました。
その驚きが覚めやらぬ中、豊洲にDMMとチームラボの施設がオープンしたというニュースを見ました。お台場の施設「ボーダレス」もできたばかりですが、内容は違うようです。この2施設だけでも大量のPCとギガと電力を消費してそうです。混まない前に行かなければと、オープンしてすぐに予約しました。
2020年秋までの2年間限定で、総敷地面積10000平方メートルの空間がオープン。近くにカフェが欲しいところです......。
7月から2年限定でオープンした「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」。施設は新豊洲にあります。駅を降りたら周りに何もなくて、とりあえず寄り道せずに施設へ。予約した時間になったら列に並んで、入口前で数十人ずつ説明を受けます。ちなみにチケットは大人3200円とまあまあ高いですが、プライオリティレーンチケットという並ばないで入れる優先チケットはなんと大人6000円。横を通り抜けていくファミリーが富裕層オーラを放っていました(ちなみに普通チケットでもそんなに並ばなかったです)。
「大人の方は膝丈まで濡れます。スカートの方は鏡面に写り込む可能性があります。ハーフパンツの貸し出しを行っています」
何も考えずにスカートで来てしまいましたが、パンチラの恐れがあるとは......。そういえば「ボーダレス」の方も床が鏡面のところが結構あってパンツがマストだと思った記憶が。ハーフパンツを借りて、更衣室で着替えて、スマホ以外ロッカーに預け、いよいよ中に入ります。
水や光、球体などと戯れるインスタ映え空間
まず漂ってきたのは塩素の匂い。坂道になっている廊下を上がっていたら、塩素まじりの川が流れてきました。ここで強制的に足が洗われるんですね。不特定多数の人がプールに浸かるので衛生度が気になっていましたが、塩素の洗礼を受けて良かったです。
そこから、次々と室内アドベンチャーが展開。床がふわふわしている部屋では、寝転がる人が多数。私はてっきり速さを競うものだと思って、スピーディに通り抜けてしまいましたが......。
暗い廊下を進むと、きらめく光の空間へ。鏡張りの空間に無数のLEDがきらめいています。「ボーダレス」にもこの空間ありました。
合わせ鏡効果で、多次元に人が存在しているようです。霊界っぽい光景でトリップ。
スマホの専用アプリをダウンロードすることで、光の点滅を自分好みに変えられるのですが、皆自撮りに夢中でアプリを使っている人はほとんどいません。それにしても、上下が合わせ鏡のようになっていて、まるで霊界の次元のように上にも下にも人の集団が見えて、異次元の空間です。とりあえずパンツを借りて正解の映り込み具合でした。
この施設のメインは、巨大な膝丈くらいの水位のプールです。白い水にブロジェクションマッピングが投影され、花や魚が華やかに映っていました。美しくもはかない、諸行無常を感じる眺めです。水はどの程度の頻度で交換されているのかちょっと気になりましたが、塩素の効力を信じたいです。
ありそうでなかった足だけプール。白濁した水面に幻想的な映像が投影されています。
猛暑だった今年、プールや海に行きたいけれど準備が面倒くさい、という時にありそうでなかった足だけプール。デジタルアートを楽しみつつ、涼めるスポットとして堪能させていただきました。足を冷やしたからか、しばらく涼しさは持続。冬場はどうするんだろう、という気もしましたが、とりあえず今楽しければ良い、というデジタルアート的な刹那的な感覚に浸りました。
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。