今夏HOTなスヌーピースポット【辛酸なめ子の東京アラカルト#17】
2018年9月に惜しまれながら閉館予定の「スヌーピーミュージアム」(東京・六本木)。現在、ファイナル展示「ともだちは、みんな、ここにいる」を開催しています。終わる前に行ってまいりました。
スヌーピーミュージアムは9月24日までファイナル展示。鳥居坂は結構急なので暑い日はご注意を......。
建物の前には年代ごとのスヌーピーの像が並んでいてスヌーピーファンとしてはテンションが上がります。展示室の最初の部屋には作者のチャールズ M. シュルツの写真が並んでいました。家族と一緒の写真を見ると、このお子さん方が莫大な利権を......と下世話な考えがよぎります。幼少期のスヌーピーを純粋に好きだった気持ちを蘇らせなければ。
続いて、スヌーピーの登場人物たちの友情を感じさせる漫画が展示されているコーナーが。アメリカらしいウィットがちりばめられた作品に異文化を感じながらも刺激されます。「ピーナッツ」ではアメフトがかなり重要なモチーフだったようで、ルーシーがチャーリーにアメフトの球を蹴らせようとして、さっと避けて転ばせる、というお決まりのオチがドリフのコントのように何十回も繰り返されていたことを知りました。
休日に行ったら結構混んでいました。当日券もありますがチケットは予約すると安心です。
ウッドストックとスヌーピーの友情にも萌えますが、若い女子に隠れた人気だったのがウサギのキャラ。ウサギを仕留めるように命じられたスヌーピーですが、森の中でウサギたちと友だちになってしまう、というほっこり系漫画が展示。
また、友だちと言っていいのか、スヌーピーとミッキーマウスの微妙な関係を感じさせる漫画も。スヌーピーの兄弟、スパイクが遠い砂漠にいるので「大金持ちのミッキーマウスに電話してリムジンを回してもらえ」というセリフがありました。今となってはお互いひけをとらないレジェンドですが、当時はライバルとして意識し合っていたのかもしれません。
最後「SEE YOU AGAIN」というメッセージがあったので「スヌーピーミュージアム」はまたどこかに移転するのかなと思ったら「IN SANTA ROSA」でした。西海岸ですか......。
皆が抱きついていたふわふわのスヌーピーの柱。この癒しの柱だけでも残しておいてほしいですが......。
「スヌーピーミュージアム」の穴を埋めてくれる「ピーナッツ ダイナー」
でも、首都圏で西海岸っぽい空気でスヌーピーの世界に浸れるスポットがあります。
横浜みなとみらいにちょっと前にオープンした「ピーナッツ ダイナー」。休日でしたが、予約しないでも入れました。こちらも壁に漫画が展示され、犬小屋を再現したコーナーがあって、プチミュージアムのような充実度。
お客さんはスヌーピーマニア感が濃厚で、服やアイテムにどこかスヌーピーが入っていたり。スヌーピー柄ベストのおじさんは奥さんらしき女性と一緒にテーブルの上にスヌーピーのぬいぐるみを置いていました。
犬小屋は人間も入れるサイズで、四つん這いで記念写真を撮る人が多数。おじさんとおばさんはスヌーピーのぬいぐるみを屋根の上に寝かせていました。たしかにそういうシーン記憶にあります。
お店の一画には犬小屋を再現したコーナーが。お店の人はデニムやチェックシャツなどアメリカっぽいファッションでした。
ところでこちらの料理はメインを選んで、セットのビュッフェがつくのですが、適度にジャンクで魅力的です。ホワイトチョコファウンテンやコーンドッグなど......。「スライダー」と呼ばれるミニサンドウィッチも何種類かあって、その中で禁断のおいしさだったのが「ピーナッツギャング」。なんとピーナッツバターとイチゴジャムが挟まったサンドです。何この発明......と衝撃のおいしさで、ピーナッツのシャリシャリ感とジャムの酸味のハーモニーに中毒性があります。
魅惑の「ピーナッツ ダイナー」ビュッフェコーナー。手前にあるのがピーナッツバターとイチゴジャムのサンドです。
でもこれを食べまくっていたら間違いなく体型が......。おいしくてハイカロリーのアメリカンフードで体型がスヌーピーと一体化できそうです。本当のファンなら心も体もスヌーピーに同化すべき、かもしれません。
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。