出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2015/11/24

【第36回】「マッサン」のヒロインが挑むブロードウェイミュージカル『シカゴ』、フォッシースタイルをどう演じきるか?

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NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』でエリー役を見事に演じ、一躍国民的ヒロインとなったシャーロット・ケイト・フォックスが、2015年10月31日、ニューヨークで上演中のミュージカル『シカゴ』に出演し、華やかなブロードウェイデビューを飾りました。

あの輝くようなブロンドヘアーを封印し、赤毛のウィッグ姿でセクシーな黒のミニドレスに身を包み、良妻エリーとは真逆の悪女、ロキシー・ハート役を演じました。「見事な舞台度胸で、躍動感に満ちたパフォーマンスを披露した」と評判も上々です。

シャーロットは、ブロードウェイに11月15日まで出演した後、12月にアメリカ・カンパニーと共に来日することになりました。

ブロードウェイ歴代2位のロングランミュージカル

夜の街にジャスの音色が響き、マフィアが暗躍する禁酒法時代のアメリカ・シカゴ。そこを舞台に二人の女殺人犯ロキシー・ハートとヴェルマ・ケリーが、敏腕弁護士の手を借りて一躍マスコミの寵児となっていくさまを、ダンス満載でシニカルかつユーモラスに描いたのがミュージカル『シカゴ』です。

ブロードウェイの鬼才、ボブ・フォッシーの脚本・演出・振付によって1975年に初演され、1977年まで計936公演を行いました。

その後、初演からわずか20年後の1996年に新演出版の『シカゴ』がブロードウェイで上演されました。ボブ・フォッシーの愛弟子のアン・ラインキングが、クールでセクシーな「フォッシースタイル」と呼ばれる振付を踏襲しつつも斬新な振付をし、衣裳・装置を簡素にすることで登場人物の個性がより浮き彫りになった新演出版は、トニー賞最優秀リバイバル作品賞をはじめ6部門を受賞。現在19年目のロングランに突入し、『キャッツ』の記録を抜いてブロードウェイ史上2位のロングランとなっています。その人気は全世界に広がり、日本を含む30カ国以上、12言語での上演が行われています。

また、2002年公開の映画版(レニー・ゼルヴィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演)がアカデミー賞を受賞し、日本で大ヒットしたのも記憶に新しいところです。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]世界最高のヴェルマ役者も来日
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