原宿Mania
2014/12/29

【原宿ペディア】(3)原宿創世記物語1 ~震災も戦争も乗り越えて進化したハラジュク~

'60sなら感涙!原宿族って知ってる?

敗戦の色が少し薄れ日本に活気が出だしたころ、原宿に、"ここにいるだけでおしゃれ"と言われる建物が現れます。それは、1958年に完成したセントラルアパート(現・東急プラザ表参道原宿)でした。

米兵、オリンピック選手など、多数の外国人が住むようになり、特にセントラルアパートに事務所を持つことはステータスでした。こうした雰囲気に惹かれ、デザイナーやモデル、タレント、ファッション業界の人など、時代の先端を行くおしゃれな人たちが原宿に住居を構えたり、事務所を持つようになりました。セントラルアパートの周辺には、近代的なアパートや洋風の店舗が軒を連ねるようになり、表参道はパリのシャンゼリゼ通りにちなんで「日本のシャンゼリゼ」と呼ばれ、その知名度を高めました。

1960年代の半ばには、明治通りと表参道の交差点付近に開店した日本初のドライブイン「ルート5」や、セントラルアパート1Fのレストラン「クレドール」などの深夜営業の店舗ができて、そこに若者達が集まりました。彼らは「原宿族」と呼ばれ、スポーツカーで原宿に乗り付けて、路上の女性に声をかけたり、ロンドンで流行していたモッズスタイルに身を包み、バーやレストランで洋楽を聞くなど、最先端のファッションや音楽、食べ物を取り入れていきました。現在の、おしゃれな若者たちの集まる原宿という場所性は、すでに1960年代に始まっていたのです。


1950年代-1960年代の原宿をもっと知りたい方におすすめの本
1:秋尾沙戸子著『ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後』
2:浅井慎平著『原宿セントラルアパート物語』
3:高橋靖子著『表参道のヤッコさん』
4:馬渕公介著『「族」たちの戦後史』


プロフィール
渡辺明日香 共立女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。共立女子短期大学准教授。ストリートファッションの定点観測に基づく現代ファッションの研究を行う。著書に「ストリートファッションの時代」(明現社)、「ストリートファッション論」(産業能率大学出版部)、「新装改訂版 日本のファッション」(青幻舎)など。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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