MMD研究所は、2012年3月15日にイー・モバイルの「EMOBILE LTE」が始まったのを受け、3月16日から23日の期間、モバイルブロードバンド通信サービス各社の実態調査を行った。調査は、価格.comブロードバンドスピードテストを使用。9時~23時の時間帯に同条件下で各3回計測し、最高速を記録している。
スペック値と実効速度の乖離明らか
高速モバイルデータ通信サービス 地域別比較調査結果一覧
調査結果から読み取れるのは以下通りだ。まず、全国の主要8都市(22エリア)における実効速度についてだが、「ソフトバンクULTRA Wi-Fi4G」と「UQ WiMAX」でほぼ全国的に「最速値」を"独占"。残る2キャリアがトップを取れたのは、「EMOBILE LTE」がJR池袋駅東口みずほ銀行前と、JR広島駅(グランヴィア広島駅)、「NTTドコモ Xi」がJR仙台駅西口だけだった。
また、各キャリアが提示する「スペック値」と実効速度の乖離(かいり)も明らかで、40Mbpsの「UQ WiMAX」が全22エリア中、13エリアで最速値を記録している一方、「イー・モバイル」や「NTTドコモ」「ソフトバンク」は75Mbpsをうたっているものの、実効速度の最速値にはほとんど表れていなかった。
次に、「高速エリアカバー率」(2012年3月末、各社記者発表等の数値)だが、特に75Mbps3社の数値の低さが顕著。高速エリアをカバーする率では「UQ WiMAX」が全国80%で優位に立つ。モバイルルーター「DATA08」なら「UQ WiMAX」の高速回線に加え、高速エリア外ではauの3G回線も利用できるので魅力的だ。
あとは「利用制限」と「料金プラン」だ。前者については、スマートフォンの普及に伴い、各キャリアは回線のパンクを避けるため、ヘビーユーザーには利用を制限しているが、「UQ WiMAX」はいくら使用しても利用制限が設けられていないためユーザーは安心していられる。高速化となれば当然、大容量のデータ送受信となるが、利用制限があると、ユーザーが満足する高速サービスとはいえないだろう。一方「料金プラン」については、「UQ WiMAX」と「EMOBILE LTE」が月額3800円で最安(他の2キャリアは月額6510円)で並ぶ。ただ、「UQ WiMAX」以外がすべて「2年縛り」の契約期間2を設けているのをどうみるかだ。WiMAXも含め、2012年末から各社が100Mbps超えを提供予定という流れのなか、エアリの整備がまだ十分とはいえない今このタイミングで「2年契約」をすることには疑問が残る。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。