今夏公開の実写版「進撃の巨人」で、特殊造形プロデューサーを務める西村善廣。監督、脚本、原作、キャラクターデザイン、編集、特殊造形監督を務めた忍者アクションが「虎影」だ。主演の虎影は斎藤工が演じている。
戦国時代。財宝の場所が記された「金」と「銀」の巻物をめぐり、忍者による争奪戦が展開する。「金」の巻物を手に入れた忍者の首領は、「銀」も手に入れるべく、すでに引退していた元忍者・虎影(斎藤)を脅しにかかる。虎影の息子をさらい、虎影と妻に「銀」を持ってくるよう要求。やむなく再び刀を取った虎影、悪どい藩主、忍者軍団を巻き込んでの争奪戦が激化する──。
スプラッター、コメディー、家族ドラマなど要素も盛りだくさん
監督が「大衆娯楽映画」と断言するように、特撮や娯楽要素をふんだんに取り入れた作品だ。太宰治の小説「走れメロス」、ハリウッド映画「ダイ・ハード」、往年の人気ドラマ「仮面の忍者 赤影」など、さまざまな過去作品の影響が随所に感じられる。さらに最新の特殊効果、ワイヤー技術、殺陣を満載。スプラッター、コメディー、家族ドラマなど要素も盛りだくさん。影絵を使った語りが使われるなど、独創的な手法で物語は進む。
さらに、竹製の衣装、人間の身体を使った手裏剣、見せしめの処刑方法など、特殊造形監督らしい工夫もあちこちに。「赤影」の懐かしい決めぜりふ、どこかチープな特殊撮影もほほえましい。主演の斎藤は奇抜な世界で柔軟な演技。オーラも十分だ。津田寛治のトリッキーな動き、しいなえいひや鳥居みゆきなど、個性的なキャストも活躍する。
昭和の世界から21世紀へ。忍者同士の巻物争奪戦は、西村監督の奇抜なアイデアを得て、なんでもありの大衆娯楽作として開花した。
「虎影」(2015年、日本)
監督:西村喜廣
出演:斎藤工、芳賀優里亜、しいなえいひ、津田寛治、石川樹
2015年6月20日、新宿武蔵野館ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。