気がつけば午前3時半。グラスが次々に空き、灰皿には山のようにタバコの残骸。2人で呑みほしたのは、スパークリングワインボトルにビール、焼酎ロック、ウーロンハイそれぞれ2杯ずつ。そして呑めない1人は、コーラにお茶、カフェオレ、ジャスミンティー、白湯3杯。確実に酔っ払っているんだろうけど、ベロベロでもない。意外にしらふに近い状態の知人のプロデューサーと私、げらげら笑いしゅんと落ち込み、お酒は一切飲んでいないのにまるで泥酔しているような女優。
呑み始めてから4時間。話していたのはある戯曲のたった3つの台詞について。「おはよう」「やぁ」「あなたってステキだわ」のこれだけ。時間を費やしたのは、行間の読み方で、何気ないこの台詞の言い方を巡って、登場人物たちの関係性、台詞の裏にある腹心、時間の流れ方、続いていくドラマの展開をどう暗示させていくか、考えることは山ほどあった。何度も何度も、「おはよう」「やぁ」を繰り返す。「今のはちょっと違った、甘え過ぎた言い方だ」「なんか違うなぁ、もっとけだるい感じがいいんじゃない」「やっぱり少し突き離して現実に引き戻す感じの『おはよう』なんじゃないかなぁ」。しっくりくる「おはよう」がなかなか出てこずに、夜はふけていくばかり。次第にどれが一番よかったのかわからなくなり、一同しばし黙り込む。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。
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