後半は質疑応答の時間をたっぷりと取り、参加者の質問やお悩みに答えていきました。
「推しコミュニティに参加したことがなく、うらやましいです。交流はどんな感じですか」という質問が上がると、熊代さんは「ファンコミュニティは、楽しさもあるけどつらさもあります」と回答。ファン内の不文律があったり、他人の推し活を見てあれこれ考えてしまったりするケースも少なくありません。こうしたファン同士のつながりは、熊代さんがオタクを始めた萌えの時代よりも、推しの時代のほうが格段に増えたといいます。
萌えは違ったんですよ。ファンが横並びではなく、キャラクターと自分の1対1の関係だという気持ちでいてもよかったんです。アニメオタクの間で使われがちな「俺の嫁」という言葉が象徴的に示していますね。 それを変えたのがSNSだと思います。ニコニコ動画もそうかもしれないですね。ニコ動、YouTube、XやInstagramが出てきて、みんなでシェアする推しの時代になっていきました。 萌えという言葉も、「萌え~」と語尾を伸ばした言い方をされるようになってから意味が変質してしまいました。それまでは1対1の奥ゆかしいものだったのが、Favoriteとあまり変わらない言葉になってしまったんですね。これは元に戻せないだろうと思います。
トークイベントの様子
トークイベント終了後に、熊代さん自身についてさらに詳しくお話を聞きました。熊代さんは、オタクと心理学についてのブログを2006年から投稿し続けています。その頃から、萌えとはどのような心の動きなのかと考え続けてきたといいます。
00年代の頃に、コフートの理論と萌えの説明は相性がいいんじゃないかと考えていました。それで、その考えをつたないなりにまとめようとしていたんですが、当時はなかなかうまくいかなかったんですね。でも、なんとか文章にしたいという思いは残っていました。 そうこうしているうちに推しがブームになりました。萌えと違うところもあるけれど、共通しているところもある現象だなと考えている時に、大和書房さんから「推しについての本を書いてみませんか」というお誘いがあったんです。機会が天から降ってきたと思いました。ぜひやりたいとお返事して、この本ができました。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。
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