『子どもをネットにさらすのは罪ですか?』まきりえこ 著(KADOKAWA)
「デイチューブは私たちが自由になるための唯一の方法だった―――。」
漫画家・イラストレーターのまきりえこさんの『子どもをネットにさらすのは罪ですか?』(KADOKAWA)は、学歴も職歴も技術もなく自信を持てずにいた主婦が、動画配信にのめりこんでいく様子を描いたセミフィクションです。ネットは危険がいっぱいとわかっていたはずが、彼女はしだいに子どもを利用するようになっていきます。
自信を持てるものが見つかった
団地に住む主婦・山田あずさは、夫と小学3年生の娘・ふうかの3人家族。
文句を言って否定ばかりしてくる夫は、あずさを「傷つける天才」です。「死ねばいいのに」と願うほど、あずさは夫を憎んでいます。しかし、ひとりでふうかを育てられる収入もなく、離婚に踏み切れずにいました。
あずさは母親からも、「グズ」「のろま」とよく罵倒されて育ちました。母親の呆れ顔に、夫の嘲り......。あずさはずっと、「私にはなんの取り柄もない」「私なんてどうせ失敗する」と思い続けていました。
そんなあずさでしたが、じつは1年前から「デイチューバー」として活動しています。もともと料理が好きで、料理の動画を投稿しているのです。デイチューブをやることで、あずさはこれまでにない達成感を味わい、感動を覚えました。唯一、自信を持てるものが見つかったのです。
もちろん夫には内緒で、ふうかにだけ話しました。あずさとふうかは「秘密の共犯者」として、デイチューブ生活を楽しんでいたのです。