2022/2/24

ゴミの延命はしたくない―。「傘レンタル」代表が失敗から学んだこと

全国展開は考えていない。「なるほど」な理由とは?

社内で言語化しているミッションは2つ。

(1)雨の日を快適にハッピーにする
(2)使い捨て傘をゼロにする

突発的な雨に対する傘のムダをなくし、将来的に傘が捨てられることに対しても新しい選択肢を提供したいという考えです。

この2つの目標が一番達成できていないのが「首都圏」です。

電車移動が多いということは徒歩移動が多いということ。だからこそ雨の日に困ることは多いんです。移動手段によって傘のニーズは異なるので、全国どこにでも展開するということは考えていません」

(編集部撮影)

この事実が如実に出たのがコロナ禍でした。立ち上げの時よりも、2020年からの未曾有の事態が一番堪えたといいます。

「雨の日の移動をサポートするサービスなので、移動そのものがないとこれって意味あるサービスなのかなと。お金は一方的に出ていくばかりだし、どうすればいいのかという選択肢もありませんでした。目の前が暗くなりましたね」

もしまたあの規模の移動制限が起きたら?

「1回経験したので、いつかは収束することがわかりました。移動する人が5割になっても一定数は使われることがわかったので、ゆっくりやっていきます。会社の成長スピードは鈍化しますが、事業には影響しません」

「アイカサ」の現在の会員数は約24万人ですが、首都圏の電車利用者数が約1000万人。「まだまだこれから」なのだそう。

「アイカサを知ってはいるけど、利用する際の不安を払拭できていないのが現状だと思っています。正直まだまだこれからなんです。プロダクト(傘)をもっとよくして、使ってみよう、使ってよかったと思ってくれる人を増やすこと。そして設置場所への投資はこれからも進めていきます」

身近にも明日をよくするヒントが眠っている

現在の傘の耐久性は高く、何年ももつ作りです。1本アイカサを使うたび、約692gのCO2削減(※3)に貢献できます。もちろんムダな廃棄も減っていきます。

丸川さんの目指すところは、ビジネスを通して社会課題を解決すること。今は、使い捨て傘削減による環境への貢献ですが、「可能性があるならどんな分野でも挑戦する」のが信条。

「挑戦した結果、世の中がよりよくなるスピードが早くなると思っています」

私たちの身近にも、社会をよくするヒントが眠っているのかもしれません。


※1 日本洋傘振興協会より
※2 環境へ与える傘の廃棄問題 Environmental issue of Umbrella(サレジオ工業高等専門学校 デザイン学科 価値創造研究室)より
※3 環境省 3R原単位の算出方法より

※この記事は、東京バーゲンマニアによるLINE NEWS向け特別企画です。

写真:葛西亜理沙

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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