エイドリアン・クワン監督(左)
閉鎖寸前まで追い込まれた小さな幼稚園。その園長を引き受け、さまざまな困難を克服しながら、見事に再建を成し遂げた女性の姿を感動的に描く「小さな園の大きな奇跡」。香港映画の定番であるアクションものを押しのけ、興行収入ナンバーワンに輝いた話題作だ。
2016年11月5日の日本公開を前に、共同脚本家のハンナ・チャンとともにエイドリアン・クワン監督が来日した。クワン監督は「夢は困難を乗り越える力を与えてくれる」と語った。
エリート幼稚園から閉鎖寸前の幼稚園へ
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資金不足で経営難に陥り、園長も教員も辞めてしまった幼稚園で、新たに園長を募集している――。新聞にそんな記事が載ったのは09年。その数カ月後、エリート幼稚園の園長を務めていたルイ・ウェホンという女性が応募し、新園長に就任したと報じられた。クワン監督はこのニュースにひどく驚いた。
「月給はわずか4千5百香港ドル(約6万円)。エリート幼稚園の園長だった人が、こんな薄給で、たった5人しかいない園児のために働こうなんて。その理由が最初は理解できなかった」
しかし、その後、心理カウンセラーのハンナ・チャンとともに慈善団体で1年間、恵まれない子供たちを手助けする仕事をしてみて、ルイ先生の気持ちがようやく分かったという。
2013年、クワン監督はルイ先生のもとを訪れる。「数々の障害を乗り越えながら、子供たちのために幼稚園を立て直すという夢をかなえた先生の話に、私はとても感動し、その場で大泣きしてしまった。ぜひこの話を映画化したいと思った」。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。