2016/10/23

映画「ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄」/7歳の息子がこつ然と消えた―― 犯人は"魔女"なのか?

(C)2015 PTG NEVADA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

米ニューヨークの大学で教べんをとるマイク(ニコラス・ケイジ)は、ハロウィンの夜、7歳の息子チャーリーにねだられて祭り見物に出る。ところがチャーリーは「霊(ゴースト)に償ってくれる?」と謎めいた一言を残し、突然姿を消してしまう。手掛かりを必死に探し続けるマイクは、やがて恐るべき事実にたどり着く──。

ティム・レボンの原作小説を、ニコラス・ケイジ主演で映画化したホラー・ミステリー映画「ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄」。監督は「ブルックリン最終出口」(89)、マドンナ主演「BODY ボディ」(93)を演出したドイツ出身のウリ・エデル。

息子を失い極限状態に置かれた父の愛情

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ハロウィンでにぎわう祭り会場で、ちょっとしたすきに息子がさらわれる。子供がこつ然と姿を消す事件は世界中で報告されており、事件性がなくても日本では「神隠し」という言葉があるほどだ。今回の場合は魔女狩りがキーワード。1679年、ニューヨークで起きた魔女狩りで、子供3人と一緒に火あぶりされた女性が魔女になり、毎年ハロウィンの夜、子供3人を生贄に連れ去る設定となっている。

悪霊と子供の失踪を描いた作品では「ポルターガイスト」(82)が有名だ。家の中の異空間に子供が連れ去られるが、今回の場合は息子の行方がまったく分からない。息子がいなくなって夫婦仲はこじれて別居。マイクは自責の念にかられ、警察に怒鳴り込んだり、息子の幻を見たり、周りが見えなくなってしまう。八方ふさがりの中、唯一の手がかりは、息子がいなくなる前につぶやいた「霊に償ってくれる?」の一言。マイクはそこから真実を探る。

ホラー・ミステリー初挑戦のエデル監督。過去にテレビドラマ「ツイン・ピークス」(91)の演出が買われたように、ミステリアスな雰囲気作り、オカルト風味のショック演出を披露する。やはりかなめはなんといってもニコラス・ケイジだ。息子がいなくなって苦悩の表情を押し通し、焦ってパラノイア的行動にも出る。物語がシンプルな分、ケイジの演技力が物を言い、作品に説得力を持たせる。

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精霊をまつるハロウィン本来の意味に立ち返り、真面目に物語に取り入れてふくらませた印象だ。魔女の怨念でケイジが1年苦しみ続け、作品が成り立ってしまうすごさ。視点を変えれば、息子を失い極限状態に置かれた父の愛情を、ホラー・ミステリータッチで描くひとひねりある作品ともいえる。

「ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄」
監督:ウリ・エデル
出演:ニコラス・ケイジ、サラ・ウェイン・キャリーズ、ベロニカ・フェレ、ジャック・フルトン
2016年10月22日(土)、渋谷シネパレスほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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