2016/1/28

映画「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」/賃貸住宅に住む者に、恐怖と戦りつを走らせるドラマ

小説家である私(竹内結子)のもとに、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から「部屋で奇妙な『音』がする」と手紙が届く。好奇心を抑えられず、調査を開始する私と久保さん。するとマンションの過去の住人が、引越先で自殺や心中、殺人などを起こしたと分かる。彼らはなぜ『音』のする部屋ではなく、別々の場所で不幸な末路をたどったのか。

小野不由美の原作小説「残穢」を、「白ゆき姫殺人事件」(14)の中村義洋が監督した。

その土地には何代にも渡って事件が起きていた

賃貸住宅に住む者に、恐怖と戦りつを走らせるドラマだ。物語はユニークに展開する。最初は久保さんの部屋だけが問題と思われたが、調べるうちに奇妙な現象はマンション全体に飛び火する。次第に原因がマンションが立つ土地にあると分かる。

その土地にはマンションが建つ前、何代にも渡って事件が起きていた。持ち主の先代が暮らしたゴミ屋敷。奇妙な赤ん坊の泣き声に悩まされた先々代。青年が閉じ込められていた3代前。過去の出来事が明らかになる。

ミステリー仕立てのドラマの随所に、ホラー風のショック演出が挿入される。中村監督は今でこそミステリー演出の名手として知られるが、原点は心霊投稿紹介ビデオシリーズ「ほんとにあった!呪いのビデオ」だった。今回も「音」から始まり時代を越える話を、絶妙にバランスよく描いている。

時代に合わせてダメージ加工された映像を使い、観客にいつごろの話か分からせる手法を取っている。最近のホラー映画と一味違った演出だ。ミステリーとホラーをミックスさせ、新しいジャンルを確立した作品だろう。


「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」(2015年、日本)

監督:中村義洋
出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一
2016年1月30日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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