2015/7/19

映画「パージ」/1年に一晩だけ、どんな犯罪も合法になる「パージ」法 無慈悲なスリラー作品

1年に一晩(12時間)だけ、あらゆる犯罪が合法になる「パージ」法。数年先の米国を舞台に、暴力と殺人の恐怖を描くスリラー映画だ。監督は「交渉人」(98)の脚本を書いたジェームズ・デモナコ。主演イーサン・ホーク、製作はマイケル・ベイと「パラノーマル・アクティビティ」(07)のジェイソン・ブラムが務めている。

ジェームズ(ホーク)は防犯システム会社の営業員。年に1度のパージに備えた商品を売っている。パージ当日、ジェームズは妻メアリー(レナ・ヘディ)、娘ゾーイ、息子チャーリーと夕食を済ませ、自社製品で完全防備の自宅で12時間をやり過ごそうとしていた。しかし、パージ「推進派」の暴徒に追われた男をかくまったことで、ジェームズの家族も標的になる──。

人殺しが目的の暴徒と、家族を守ろうとする男

殺人などあらゆる犯罪が一夜だけ合法になる近未来。デモナコ監督が過去に脚本を書いた「アサルト13 要塞警察」(15)を思い起こさせる。警察に収監された凶悪犯を狙い、謎の武装集団が襲いかかる物語。主演はやはりホークだった。「パージ」はその発展形かもしれない。

パージ推進派はなぜか正装した男女で、なたや銃を手に不気味なマスクを着け、ジェームズの家に押し寄せる。インターホン越しの交渉は決裂。推進派は防犯システムを突破し、家に押し入ってくる。人殺しが目的の暴徒と、家族を守ろうとする男。壮絶な攻防が展開する。

物語の背景として、パージ導入で米国の犯罪発生率は過去最低、平和になった様子が描かれる。逆に現実の米国は銃犯罪や暴力事件が絶えない。皮肉な描写が不気味このうえない。いつもあいさつを交わす隣人が、素顔を表す瞬間にも背筋が凍りつく。

米国では最近、ごく普通の人が快楽で人を殺す映画が増えている。病んだ現実が透けて見える。「パージ」は暗にそれを訴えているのか。無慈悲なスリラー作品ともいえる。


「パージ」(2013年、米国)

監督:ジェームズ・デモナコ
出演:イーサン・ホーク、レナ・ヘディ、アデレイド・ケイン、マックス・バークホルダー、エドウィン・ホッジ
2015年7月18日(土)、TOHO シネマズ日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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