婚活ビジネスに失敗し、借金を背負った祥子(尾野真千子)は、失意の中バリ島へ向かう。そこで日本人の大富豪アニキ(堤真一)と出会った。うさん臭い風貌のアニキだが、島の老若男女に慕われている。アニキを尊敬する青年リュウ(玉木宏)もわけありだ。さらに日本から杉田(ナオト・インティライミ)が祥子を追いかけてくる始末。祥子は稼ぐコツの伝授を願い、わらをもつかむ思いでアニキに弟子入りする──。
バリに実在する大富豪・丸尾孝俊に弟子入りしたクロイワ・ショウの成功指南本「出稼げば大富豪」が原案。監督は「デトロイト・メタル・シティ」(08)の李闘士男だ。
計40日間のバリ島オールロケ
パンチパーマ、"ANIKI"の字入りTシャツ、金のネックレス。こてこての関西弁でおやじギャグを連発するやくざ風の中年男。第一印象は最悪のアニキだが、現地の人々から慕われ、豪邸にはそろいのTシャツを着た若い女性を大勢雇っている。「島に雇用を生み出した」と一目置かれる有名人だ。弟子入りした祥子は豪邸の使用人として働き、秘書のようにアニキに同行。次第に見えてくるアニキの人柄、優しさ、器の大きさを痛感していく。
しかし、そんなアニキの人生も波瀾万丈だった。ジュース販売で一旗揚げるも、人助けで金を貸して無一文に。路上生活から心機一転、大金持ちに上り詰めた。人情に厚く義理堅いアニキは、子供たちのための幼稚園を作ろうとするが、部下の裏切りで計画は暗礁に乗り上げる──。
計40日間のバリ島オールロケ撮影。少数精鋭のキャストによる空気感、一体感が快活なリズムを生み出す。破天荒な堤、コミカルな尾野、物語のアクセントになる玉木。ナオトも初々しい役柄だ。
バリの開放感の中で展開する漫画のような成功物語は、緩急をつけた演出、キャストの個性で楽しい作品に仕上がった。中心になる堤が周りを巻き込んでいく。生活を楽しむヒントと知恵、人生の厳しさ、人の優しさにほろり。バランスが取れた心地良いコメディーだ。
「神様はバリにいる」(2014年、日本)
監督:李闘士男
出演:堤真一、尾野真千子、ナオト・インティライミ、菜々緒、玉木宏
2015年1月17日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。