2014/9/ 4

映画「フルスロットル」/ポール・ウォーカー最後の主演作 急逝が惜しまれるハイテンションな快作

仏アクション映画「アルティメット」(06)を米国でリメイクした「フルスロットル」。製作・脚本はオリジナル版と同じリュック・ベッソン、監督は「トランスポーター3 アンリミテッド」(08)らベッソン作品の編集を多く務めてきたカミーユ・ドゥラマーレ。初長編となる。

昨年11月、交通事故で急逝したポール・ウォーカー最後の主演作。ベッソンのアクション世界に、ウォーカーが飛び込む形となった。「アルティメット」」は仏生まれのスポーツ"パルクール"を取り上げた。障害物や壁を使い、人間がアクロバット的に走り抜ける。今回ウォーカーの相棒役としてパルクールの生みの親、ダビッド・ベルがオリジナル版に続いて出演している。

ベッソン作品らしいサービス精神旺盛

「アルティメット」では、ベルとスタントマンのシリル・ラファエリが二人そろったパルクールで観客を魅了した。今回はウォーカーの経歴を生かし、役柄が潜入捜査官に設定された。ウォーカーの当たり役「ワイルドスピード」シリーズの潜入捜査官ブライアン・オコナーを彷彿させる。脚本を書いたベッソンもブライアンを投影した様子。カーアクションや格闘などでウォーカーの長所を引き出しつつ、パルクールに挑戦させている。

舞台は近未来、2018年のデトロイト。荒廃したビルが立ち並ぶ地域「ブリックマンション」は、周囲と高さ12メートルの壁で隔てられていた。内部は弱肉強食の無法地帯。麻薬撲滅に挑むリノ(ベル)は、ギャングに追われてパルクールで縦横無尽に逃げ回る。ダミアンは麻薬製造現場に潜入。身元がばれて銃撃されるが、ボスの車に飛び乗り格闘。ハリウッド的に派手なアクションで冒頭から観客を驚かせる。

マンションを牛耳るボス、トレメイン(RZA)の一味が中性子爆弾を盗み、デトロイトに向けて発射を準備する。阻止までのタイムリミットは10時間。果たして止めることができるのか──。

潜入捜査官、ならず者、親のかたき討ち、人質奪還、組織の陰謀、反目する男同士に芽生える友情など、さまざまな要素に派手なアクションを加味した。ベッソン作品らしくサービス精神旺盛である。文字通り「フルスロットル」で人生を走り抜けたポール・ウォーカー最後の主演作。急逝が改めて惜しまれるハイテンションな快作だ。


「フルスロットル」(2013年、米国)

監督:カミーユ・ドゥラマーレ
出演:ポール・ウォーカー、ダビッド・ベル、RZA、カタリーナ・ドゥニ
2014年9月6日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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