沖縄の孤島を舞台に、進学で島を出る女子学生の旅立ちを描く「旅立ちの島唄 十五の春」の東京プレミア試写会が5月8日、東京都内で開かれ、主演の三吉彩花、大竹しのぶ、小林薫、吉田康弘監督が舞台あいさつした。
「旅立ちの島唄」の舞台は、沖縄本島から東へ360キロの孤島・南大東島。中学2年生・優奈(三吉)は、高校進学のため1年後に島を離れなければならない。沖縄本島に離れて暮らす母(大竹)、島に残る父(小林)、淡い恋心を抱く隣島の青年の間で、優奈の心は揺れる。旅立ちの春。少女民謡グループ「ボロジノ娘」の一員として、優奈は別れの島唄「アバヨーイ」を歌う──。
「この映画はただの家族愛とは違う」(大竹しのぶ)
今回が映画初主演の三吉。「(スクリーンに)自分の名前が上がり、初めて実感した」と感無量の表情を見せた。撮影中は島の民謡教室で歌を習い、地元の子供たちから「優ねぇ(姉)」と慕われたそう。この日は島から励ましのビデオ映像が寄せられ、お世話になった人たちの「またゲームやろうね」「大物女優になってね」などの呼びかけに、思わず顔をほころばせていた。
南大東島には実際に高校がないため、子供たちは進学とともに"十五の別れ"に向き合わなければならない。娘を送り出す父を演じた小林は「母親は久しぶりに会ってもスキンシップできる。でも父親は微妙な距離感で、損だなと思った」としみじみ。この日は母の日直前だったため、三吉から大竹にカーネーションの花束が贈られた。
吉田監督作品へは「キトキト」(07)に続く出演となった大竹。「監督には『早く次を撮って』と言っていた。この映画はただの家族愛と違い、それぞれがいろいろなものを抱えているところがいいな、と思う」と説明。小林は「家族の情愛が苦手というか、得意じゃない。監督と『引き算していくといい』と話し、一気に脚本の理解度が増した」と振り返っていた。
最後に吉田監督が「曇り空の沖縄も描きたい、と思って作った。島の美しさだけでなく、島に生きる人の顔を映したかった。より多くの人に見てほしい」と話していた。
「旅立ちの島唄 十五の春」(2013年、日本)
監督:吉田康弘
出演:三吉彩花、大竹しのぶ、小林薫
2013年5月18日、シネスイッチ銀座ほかで公開。沖縄・桜坂劇場で先行公開中。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。