『すべては子どものためだと思ってた』しろやぎ秋吾 著(KADOKAWA)
あなたの「子どものため」という思いは、子どもを傷つけていませんか?
イラストレーター・漫画家のしろやぎ秋吾さんの『すべては子どものためだと思ってた』(KADOKAWA)は、子どもの幸せを願っていた母親が、中学受験をめぐり、しだいに「毒親」に変化していく様子を描いたセミフィクションです。わが子を愛する母親は、なぜわが子を追い詰める「化け物」になったのでしょうか。
親が子どもの人生を決められるなら...
土井家は、専業主婦のくるみ(38歳)、サラリーマンのけんじ(40歳)、小学3年生のこうたの3人家族。
くるみはいつも、体が弱いこうたのことを気にかけています。こうたは体も気も小さく、あまり自己主張もしません。こうたが周りの子たちから下に見られていることを知ったくるみは、「このままでいいのかな...」と心配を募らせます。
一方のけんじは、こうたに対するくるみの関わり方を「過保護だね~」と言います。そこまで手をかけることはないし、親に中学受験をさせられそうになった自身の経験から、受験だ習い事だと競争させたらかわいそうだ、と考えています。
しかし実際のところ、けんじはどんなにがんばっても、学歴の差で悔しい思いをすることもあるのでした。
「子どもの人生は育ちで決まる」――。けんじを見ていて、くるみはそう思いました。他人と競い合っているつもりはありません。ただ、こうたのために、今しかできないことをさせてあげたい。親である自分が、わが子を幸せな人生に導いてあげなくては......。そう思えて仕方がないのです。