アイス研究家による「2022年振り返りレポート」。2023年のトレンド予測も
●2022年のアイス業界を知る3つのキーワード
アイス業界のトレンドの分析や予測にあたって、重要な"前置き"があります。
それは、アイス業界は食べ物におけるトレンドの最後の受け皿であるということ。
アイスクリームという商材は賞味期限の表示が免除されており、-18℃以下の環境で正しく保管されていれば品質の大きな劣化がみられないため、半永久的に商品をストックすることができます。つまり、いつでも好きな時に楽しめるということです。
そのため、話題になった冷蔵スイーツ(プリンやケーキ、チーズスイーツなど)や飲料(乳飲料や清涼飲料)、焼き菓子などなど、話題になった商品が6か月後、1年後にアイスの新商品として登場する傾向があります。
2022年でいうと、3つのキーワードが浮かびます。
ヨーロッパスイーツがアイスに
それは「プリン」「焼き芋」「カヌレ」です。それぞれアイスになって登場していたことにお気づきでしたか?
2022年上半期はレトロ映えが注目を集め、昭和レトロの代表スイーツということで、プリンのアイスが続々と登場しました。
2022年下半期はプリンだけではありません。昨年は、モンブランフレーバーがアイス業界を席巻! 今年は焼き芋専門店が続々と登場し、スイーツ業界でお芋を使用したデザートが話題になりました。アイスコーナーでも様々な芋アイスが続々と登場しました。
定番のスイーツだけではありません。話題のヨーロッパスイーツがアイスになっているんです! 例えば、2020年から2021年にかけてマリトッツオがアイスに。2021年~2022年にかけてカッサータのアイスが登場。そして、2022年から2023年にかけては「カヌレ」が緩やかに話題に上がり始めています。
2023年以降も何商品か、カヌレをモチーフにしたアイスが登場すること間違いありません。
チョコレートが勢いを増したワケ
一方で、アイス界の定番フレーバーで隆盛を見せたのが、チョコレートでした。
チョコレートフレーバーの新商品は25種類以上(※リフレッシュも含むシズリーナ荒井調べ)。
とにかく、高カカオを配合した商品がとにかく"ゴン攻め"でした。口の中でカカオと会話ができる! それぐらい濃く、大人の余韻に浸れるビターなチョコレートアイスが多かったです。
なぜ、チョコレートフレーバーで新作が続々と登場したのか紐解きますと、そもそも、今までの市販されているチョコレートアイスでは"カカオをほとんど使用されておらず"、ココアのアイスをチョコレートとして販売されていました。
しかしながら、チョコレート専門店が夏でもチョコレートを販売するために高カカオを使ったチョコレートアイスを販売しはじめ、通年で売れ続けるチョコレート専門店を目指した結果、チョコレート好きが専門店のチョコレートアイスの味を知ることで市販アイスでは物足りなくなってしまい、売れなくなってしまいました。
そこで、各アイスメーカーはバニラの次に売れるフレーバーであるチョコレートの強化を図りました。
アイスを通じてトレンドを振り返ると、新作アイスの傾向が見えてきますよね。では、最後に2023年大注目フレーバーをご紹介します。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。