辛酸なめ子の東京アラカルト
漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが注目する東京のお出かけスポットやイベントを紹介。辛酸さんならではの視点、現地でのエピソードに思わずニヤッとしてしまいます。
2022/7/28

祭のアッパーなエネルギーがうずまく非日常の食空間【辛酸なめ子の東京アラカルト#63】

ソロ客も浅草の人情に包まれて......

 

初回訪問時は、アウェイ感でちょっとお店に入る勇気がなかったので、数週間後再訪問し、ひとりで入れそうな「浅草すし」のカウンターに着席。

(「エビカニ合戦」と「あおさ赤出し」などをオーダー。手頃な価格帯です)

名物は「エビカニ合戦」(989円)だそうで、内容について詳しく聞いてみると「80gのお米を使った軍艦が6個あり、その上がエビ、イクラ、カニの競演になっています」とのこと。

運ばれてくると、蟹の甲羅にイクラやエビ、カニ、卵などが乗っていて、かなり映える一品でした。濃厚なハーモニーとさわやかな柚子の香りが調和しています。

トイレに行って戻ってきたら「お帰りなさい」と迎えてくれたり、ひとり客でも下町の人情を感じられました。

お箸の袋がおみくじになっていたのですが、開いたら「半吉」という微妙な結果に。「末永い辛抱が大切」とのことです。でも浅草寺の凶が多いおみくじよりはマイルドかもしれません......。

浅草は高級感漂う老舗と、安い飲み屋が多いですが、意外とその中間層狙いのお店があまりなかった気がします。

今回、横町に来て、新たな客層を開拓できそうなポテンシャルを感じました。また来てみたいですが、その時までに一緒に集う仲間を探したいです。

ひとりカウンター寿司も、江戸っ子的に粋な体験でしたが......。

辛酸なめ子

東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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