ソロ客も浅草の人情に包まれて......
初回訪問時は、アウェイ感でちょっとお店に入る勇気がなかったので、数週間後再訪問し、ひとりで入れそうな「浅草すし」のカウンターに着席。
(「エビカニ合戦」と「あおさ赤出し」などをオーダー。手頃な価格帯です)
名物は「エビカニ合戦」(989円)だそうで、内容について詳しく聞いてみると「80gのお米を使った軍艦が6個あり、その上がエビ、イクラ、カニの競演になっています」とのこと。
運ばれてくると、蟹の甲羅にイクラやエビ、カニ、卵などが乗っていて、かなり映える一品でした。濃厚なハーモニーとさわやかな柚子の香りが調和しています。
トイレに行って戻ってきたら「お帰りなさい」と迎えてくれたり、ひとり客でも下町の人情を感じられました。
お箸の袋がおみくじになっていたのですが、開いたら「半吉」という微妙な結果に。「末永い辛抱が大切」とのことです。でも浅草寺の凶が多いおみくじよりはマイルドかもしれません......。
浅草は高級感漂う老舗と、安い飲み屋が多いですが、意外とその中間層狙いのお店があまりなかった気がします。
今回、横町に来て、新たな客層を開拓できそうなポテンシャルを感じました。また来てみたいですが、その時までに一緒に集う仲間を探したいです。
ひとりカウンター寿司も、江戸っ子的に粋な体験でしたが......。
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ
ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。