毎月お腹が痛い
生理が近づくと体が重くなり気分が落ち込む、イライラが止まらない......。PMSの症状に悩む女性は約8~9割。そのうち2人に1人は「PMSの諸症状によって仕事の効率や生産性、家事に影響が及んでいる」と回答しています。
アメリカの調査では、PMSによる生産性低下を経済損失として算出すると、女性1人あたり年間で4000ドル(約50万円)以にもなることが分かっています。それを日本にあてはめると、年間の経済損失は約1兆円!
本人や周りの人のみならず、国家にまで多大な影響を及ぼすPMS。でも最近、その症状の改善にある腸内成分が役立つことが分かってきました。
大豆の力を生かせる人、生かせない人
研究を行ったのは、近畿大学東洋医学研究所所長で、女性医学部門教授の武田卓氏と大塚製薬です。
PMSの原因のひとつとして考えられるのが女性ホルモン「エストロゲン」の低下ですが、このエストロゲンと似た働きがあるのが大豆に含まれる「イソフラボン」ということは、よく知られています。
ところが、研究が進むにつれてイソフラボンの恩恵に預かれる人とそうでない人が存在することが明らかになってきました。
その違いは、イソフラボンの1種、ダイゼリンから「エクオール」という成分を産生することができる腸内細菌を持っているかどうか。
武田教授らは、PMSを治療中の患者と一般公募者で大豆食品を食べたあとの尿中のエクオールを判定し、比較しました。その結果、一般公募の人が41.8%だったのに対し、PMSを治療中の患者は23.9%と1.7倍の差がありました。
つまり、PMS症状の緩和とエクオールの産生能力は関係があるということ。また、エクオールを作ることができない人はPMSリスクが2.4倍になることも判明したのです。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。